JALの経営撤退に伴う北海道エアシステム(HAC)新体制がスタートして20日あまり、6月1日の丘珠空港への拠点集約に向けた取り組みが急ピッチで進んでいる。移転に係る最大の課題と見られていた格納庫取得は1億円で全日空と交渉が成立した。簿価6億円と見られていた格納庫が格安で取得できたことで新生HACには資金的な余裕が生まれている。(写真左・丘珠空港の格納庫、右・6月1日丘珠集約のHACパンフ)
新生HACを巡り、札幌市は新千歳空港と丘珠空港を拠点にしていた旧HACの丘珠一拠点化を強く主張していた。
昨年7月に全日空子会社のA―netが丘珠を撤退、新千歳に集約されたため札幌市は都市機能を維持・発展させるためにはHACの丘珠集約が不可欠と考えていたためだ。
結果的に最大株主の道も新生HACを丘珠に集約することを条件に札幌市の出資を引き出し、道内コミューター航空の役割を果たしていくことになった。
丘珠移転のネックと見られていたのが航空機を夜間に駐機させておくための格納庫をどう確保するかということだった。
丘珠にはA―netが使っていた格納庫が残っていたため、それを取得する方向で検討。
当初は、札幌市が単独で取得し固定資産税が掛からないような方法も検討されたが、札幌市も出資する丘珠空港ビルが民間会社であるため整合性が取れないとして新生HACが取得することになった。
新生HACが誕生した4月1日以降、全日空と交渉を本格化、簿価6億円とされた格納庫は結果的に1億円の格安価格で取得できた。
道によると、丘珠集約経費と新体制移行に伴う新ロゴやシステム構築費用などに合計5億円程度の支出を見込んでいた。そのうち約2億円程度は格納庫取得に掛かると見られていただけに、1億円で取得できたことにより新生HACには資金的余裕が生まれている。
丘珠移転に向けて道は1億7300万円、札幌市は1億2900万円を補助金支出しており、合計額は3億200万円だった。
格納庫取得経費1億円は道と札幌市が半々で補助金を充当する。
格納庫はHACが使用している機材Saab340を3機を全て格納しても余裕がある。札幌市消防局の石狩ヘリポートの移転も検討されたが、ヘリポートはリース使用のため解約による違約金1億円が発生するため、当面はHAC機材の格納だけに使用される。