道のHAC再生案に上田文雄札幌市長が『内容証明』のようなブラフ文書を提出

交通・運輸


7月23日付けの本欄で「道と札幌市の根深い対立」について書いたが、早速その典型的な出来事が起こっている。
JALの資本縮小で再構築が必要になっているHAC(北海道エアシステム)の向き合い方にかなりの温度差が表面化しているのである。直接的には、道が道議会で示したHACへの札幌市の出資比率について札幌市が猛反発している構図だ。


札幌市の言い分は、「道は十分に情報開示をせずにいきなり道議会で出資構成や計画数値を明らかにするのは市を軽視している」というもの。また、道の経営責任の取り方が甘くて納得できないということもあるという。
札幌市は丘珠空港から撤退したA―net(エアーニッポンネットワーク)の代わりにHACの丘珠集約化を大前提に考えており、道の新千歳、丘珠の両睨みに反発していることがベースにあるようだ。
先週開かれた道議会の特別委員会で明らかにされた新HACの出資比率などについて札幌市は上田文雄市長名で高橋はるみ知事宛てに文書を差し出している。
この文書差し入れについて、道は戸惑いを隠せない。
「いきなり市長名で文書を申し入れるなんて上田市長はどうしちゃったのか」と道庁高官は“攻撃的な”市の姿勢に感情を害している。
市長周辺は、「上田市長は弁護士として企業再生も手掛けたことがある。HAC再生についても弁護士としての眼で見て道のやり方はおかしいと感じている」と言う。
上田市長は確かに弁護士として様々な事件を取り扱ってきたが、企業再生については弁護士界では無名に近い。企業再生といえば、パッと名前が浮かぶのは、橋本昭夫、村松弘康両弁護士。上田文雄という名の弁護士は北教組など労働組合に強い弁護士というイメージしかない。
今回の札幌市の道に対する文書申し入れは、弁護士が良く使う内容証明郵便のようなブラフ効果を狙ったようにも見えてくる。
ただでさえ、新HACを巡る道と札幌市の対応の誤差が摩擦熱を放っているのに、そこへもってきて上田市長の手紙による奇襲で感情的な溝はますます深まってしまった。かくも道と札幌市の共同作業は難渋を極めるものなのか。
(写真は丘珠空港。A-ne撤退で収入は7割ダウンしている)

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