北海道銀行(本店・札幌市中央区)は2025年12月3日、「ホテルポールスター札幌」(同市同区北4条西5丁目)で「道銀・農業経営塾OB会」を初開催した。同塾OBなど約50人が出席、基調講演やパネルディスカッション、懇親会を通じてOB同士の交流を深めた。
(写真は、道銀・農業経営塾OB会のパネルディスカッション)
道銀は、北海道の基幹産業である農業の支援を積極化するため、全国の金融機関に先駆け、2009年に「アグリビジネス推進室」を設置して金融支援、農業経営の高度化、農産物の高付加価値化に向けた取り組みを展開してきた。道農政部長だった西山泰正氏を同推進室の参与に招聘、同じく農政部長だった土屋俊亮氏も道銀入りするなど、道庁との関係を深めて、農業分野の取り組みを強化してきた。土屋氏はその後、副知事として道庁に戻ったが、退任後は、道銀地域総合研究所会長に就任している。
道銀・農業経営塾は、2011年から農業生産法人の経営者や後継者を対象に、農業スキルを習得してもらう目的で始まった。コロナ禍の休止期間を挟み、12期目に入っており、卒業生は延べ166人。今回、OB同士の交流を進化させる目的で、初のOB会を開催することになった。
基調講演は、国内唯一の洋樽専業会社、有明産業(本社・京都府宇治市)の小田原伸行代表取締役が、『変化に対応し、新たな価値をつくる』をテーマに話した。小田原氏は、2027年に旭川に洋樽工場と麦芽工場を稼働させることを説明し、「北海道に進出することにしたのは、観光大国、農業大国であると同時に新規蒸留所の開設ラッシュが続いており、数年後には20ヵ所に増えることが予想され、洋樽需要が増えるため」とした。また、洋樽の材料になるミズナラが北海道には多いことも北海道進出を決めた理由だとした。
続いて、『持続可能な農業経営を考える』をテーマにパネルディスカッションが行われた。前出の土屋氏がファシリテーターを務め、基調講演を行った小田原氏、農業塾OBの有限会社加藤農場(芦別市)・加藤穣社長、農事組合法人西上経営組合(河東郡鹿追町)・菅原謙二組合長、有限会社藤井牧場(富良野市)・藤井雄一郎社長が、パネリストとして参加した。
会場からは、人事評価や担い手の減少、経営理念をどう浸透させるかなどについて質問が相次いだ。経営理念の浸透について、「幹部と一緒につくった経営理念は、社員や職人の意見が入っており理解が進んだ」(小田原氏)、「26人の従業員がいるが、『挑戦』の経営理念の下、従業員の要望にだめだと言ったことはない。挑戦してうまくいかなかったら初めてその従業員は納得する。文字通り経営理念を実践している」(加藤氏)、「中堅の3人でつくった経営理念は受け入れられている」(菅原氏)、「私が代表になって経営理念を3回変えた。自分の言葉でない限り社内に浸透しない。自分自身はどうしたいのかを突き詰めて、2020年に『開拓者たれ』とした。その後、『富良野未来開拓村』という地域課題解決のプラットフォーム設立に繋がり、理念の力は大きいと改めて感じた」(藤井氏)など、それぞれの経験を話していた。



































