高齢者介護事業を行っている事業者の経営が厳しくなる中、道内19市町村で高齢者介護事業を展開しているMOEホールディングス(本部・札幌市西区)は2025年10月22日、北洋銀行(本店・同市中央区)と「地方創生に関する包括連携協定」を締結した。両社が協力して、道内介護事業の課題解決を進める。(写真は、MOEホールディングスと北洋銀行の「地方創生に関する包括連携協定」締結式。左から、MOEホールディングス・水戸康智社長兼CEO、北陽銀行・津山博恒頭取)
2024年の介護報酬改定や物価高騰、人件費上昇により、高齢者介護事業者の経営が圧迫されている。道内では、14自治体で訪問看護のサービスが提供できない事態になっている。特に道内の地方部では、ガソリン高騰なども影響して、赤字に陥る事業者が増加、経営健全化の見通しが立たない状況に追い込まれているところもある。こうした苦境にある事業者が、経営改善策について相談できる先が限られるため、とりわけ地方部では、高齢者介護の持続可能性は危機的な状況。苦境の介護事業者が頼るのは、M&A仲介会社が多いという。しかし、M&A仲介会社は、資産価値を高めるために多角化を求めるなど、実情に合わないコンサルを行うケースもある。
MOEホールディングスは、道内で友好的M&Aを行い、地域の介護を支えてきた蓄積がある。介護人材の教育や運営施設への食材、資材一括供給でも先んじており、こうしたノウハウを北洋銀を通じて、介護事業者に提供、高齢者介護の持続可能性を探る。協定の締結式で、MOEホールディングスの水戸康智社長兼CEOは、「北洋銀と一緒に地方の介護事業者と連携、新しい介護の提供を考えていきたい。北海道は高齢者介護の課題先進地でもあり、解決策を探ることで全国のモデルになることができる」と語った。
北洋銀の津山博恒頭取は、「MOEホールディングスとの食材、資材などの一括仕入れによるコスト低減や経営再生プランの策定などを提案して、介護事業者の経営改善に協力していきたい」と話した。協定では、地方の介護人材の居住用として空き家の活用のほか、地場産品の活用や商業施設との連携による生活支援なども含まれている。