IMG_9270 札幌市倫理法人会(児島充子会長)は10日、北洋銀行の横内龍三会長を講師に招き第1400回の記念モーニングセミナーを開催した。同倫理法人会は毎週木曜日の朝6時半からモーニングセミナーを開催、約30年前から継続しておりこうしたセミナーとしては道内各倫理法人会の嚆矢になった。この日は、1400回記念ということで会員企業など100社100人を超える参加者があり、会場のホテルレオパレス札幌は熱気に包まれた。(写真は講演する横内龍三北洋銀行会長)
 
 横内会長は『日本経済「変革」の時代と「企業倫理」』をテーマに約45分間講演した。
 デフレ脱却の必要性を解説し投資や消費を増やすための成長戦略が不可欠と述べ、安倍政権はトリプルAの格付けであることを紹介、「安倍首相のA、麻生副総理のA、甘利経済再生相のAでトリプルAだ」と会場を笑わせた。
 一方で、五木寛之の『下山の思想』というように成長はもう必要ないのでは、という考えも紹介、「確かに一理あるが、所得格差の拡大や非正規労働など雇用環境変化で経済成長がなければ小さな幸せも手にすることができない」と語った。
 
 日銀人事局長を退職して弁護士に転身。東京の田辺総合法律事務所に入り企業法務を担当、それから4年後に北洋銀に招かれ頭取として企業経営を担ってきた経験から「社会は様々な価値観で成り立っていることを実感したが、変化の激しい時代にこそ企業にも個人にも倫理が必要ということを強く感じた」と訴え、横内会長はサッカーに例えて、「ルールを作ってもそれに書き込めないのがフェアプレイの精神。この精神は我が国の民法の基本精神である信義、誠実に共通するもの。企業も個人も法律というルールを守るだけでなく倫理を持たなければいけない」と強調していた。
 
 みずほ銀行の信販会社を通じた暴力団への融資についても触れ、「企業倫理に批判が出ており、みずほ銀行はしっかり持たなければならない」と話した。
 
 横内会長が締めくくりの言葉として提示したのは“インテグリティ”。「訳すと“誠実”ということになるが、これはコンプライスアンスを超える人間の価値観を示すもの。自由の中にこそインテグリティが必要で経済発展の源になる。変革のための価値観はこの言葉になるのではないか」と参加者たちに投げかけていた。


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