道銀の危機を救った537億円優先株全額償還、発行から25年で名実ともに新時代に

金融

 北海道銀行(本店・札幌市中央区)が、バブル経済により経営難に陥った際、取引先や個人などが引き受けた優先株の残額が、全て償還される。道銀と北陸銀行(同・富山市)の持ち株会社、ほくほくフィナンシャルグループ(本部・同)が、2025年2月25日の取締役会で決定した。1999年7月30日に発行して以来、25年で全優先株の償還となる。(写真は、道銀本部が入るほくほく札幌ビル)

 道銀は、旧北海道拓殖銀行との合併破談後から2年後の1999年7月、自己資本比率の低下に対応して、ラルズ(現アークス)や北海道栽培漁業公社などを引き受け手に、優先株537億円を発行。その前後に、3回に分けて導入された公的資金約1400億円と合わせて、経営危機を脱した経緯がある。2004年9月には、ほくほくFGが誕生し、公的資金については2005年9月から2009年8月まで、6回に分けて償還して完済した。

 道銀が発行した優先株は、ほくほくFGの誕生によって、ほくほくFGの優先株になったが、2019年10月から償還して残額を減らしてきた。今回、足元の業績が、順調に推移していることや、利益剰余金の積み上がりの状況を踏まえて、優先株の全額償還を決めた。取得する株は、約4300万株で、全発行株式の79・98%。取得価額は1株当たり500円、取得総額は214億8500万円。取得予定日は、2025年4月1日。これによって、自己資本比率(2024年12月末で9・31%)は0・4%程度低下する見通し。

 優先株の全額償還について、道銀の兼間祐二頭取(ほくほくFG副社長)は、「1999年の優先株発行から25年が経過しました。この間にバブル経済崩壊による不良債権処理、米国発の世界金融危機、日銀よるマイナス金利政策の導入など、厳しい経営環境が続きましたが、株主の皆さまにお力添えをいただき、困難を乗り越えることができました。今日までの長きにわたり、当行ならびに親会社に対する多大なご支援に心から感謝申し上げます」とコメントした。

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