北海道銀行(本店・札幌市中央区)は2023年5月9日、日本郵便(同・東京都千代田区)、SocioFuture(同・同都港区)と「地域金融に関する連携協定」を締結した。最初の取り組みとして、道銀天塩支店(天塩郡天塩町)を稚内支店(稚内市)の店舗内店舗にすることに伴い、天塩支店のATMと窓口を2023年10月2日(月)から天塩郵便局内に設置する。日本郵便が道内金融機関と連携するの初めて。(写真は、「地域金融に関する連携協定」を締結式。右から北海道銀行・兼間祐二頭取、日本郵便・浄土栄二北海道支社長、SocioFuture・菅原彰彦社長)
道銀は、地域の人口減少や支店での働き手不足などから、将来的な支店機能維持が困難だとして、ATMと窓口を信金支店内に設置する「共同窓口」の取り組みを行ってきた。これまでに寿都郡寿都町、虻田郡洞爺湖町、紋別郡湧別町で実施、7月には苫前郡羽幌町でも実施する。今回、日本郵便とSocioFutureと協定を締結して、信金以外の新たな枠組みで対応することにした。
道銀天塩支店は、1954年8月に当時の北海道拓殖銀行の旧天塩支店を承継して開設、今年で69年になる。この支店も、利用率の低下や働き手不足などで店舗維持は困難として、2023年9月29日(金)で閉店し、同年10月2日から稚内支店内に移転することになった。
それに伴い、天塩支店から徒歩3分の至近にある天塩郵便局内に道銀のATMを移転設置するとともに、郵便局窓口にスキャナーやタブレット端末を設置、道銀顧客の諸手続きや受け付け、取り次ぎを郵便局員に対応してもらうことにした。事務スキームは、SocioFutureが構築した仕組みを活用する。ATMは手数料無料で利用できる。また、法人顧客については、定期的に稚内支店から行員が出向いて対応する。
日本郵便が、道内金融機関とこうした取り組みをするのは初めて。全国的には、南都銀行(本店・奈良市)や東日本銀行(同・東京都中央区)が郵便局との共同窓口、ATMを設置しているほか、ATMのみの設置は7行23局で実施している。
この日の会見で、日本郵便の浄土栄二北海道支社長は、「道内179市町村に1500の郵便局があるので、そのネットワークを生かして他の企業との連携を拡大、地域のお客さまの利便性向上に貢献していきたい」と語った。
また、道銀の兼間祐二頭取は、「天塩支店では、最初から日本郵便と提携したいと考えていた。これからの北海道の展開を考えた場合、すべての市町村に店舗があり北海道を網羅しているのが郵便局。いつかどこかのタイミングで郵便局と共同事業をやりたいと考えていた。今回がまさにそのタイミング」と話したうえで、「(天塩町に店舗がある)稚内信金さんと親しくないということではない。今回のスキームが決まってから、増田雅俊理事長にはきちんと報告している」と付け加えた。
道銀は、現在までに実施した信金3店舗内でのATM、共同窓口設置について、「ATMの存在が非常に大きいことが分かった。通帳の記帳や入金、振り込みができるため、この機能によってかなりのお客さまが不便を感じずに取引いただいている」(兼間頭取)とした。