北海道信用保証協会吉澤慶信会長インタビュー、「道中小企業支援ネットワークは金融円滑化法後の目線を合わすのが目的」

金融

 中小企業の資金繰りを支援する中小企業金融円滑化法が来年3月末で期限を迎える。金利減免や返済繰り延べを受けている利用企業の中には、経営が健全化に向かわず資金繰りが悪化する企業が出ることも避けられない。そうした中で、北海道信用保証協会が事務局を務める「北海道中小企業支援ネットワーク」が9月20日に設立された。道内の金融機関や経済団体、行政機関が一堂に会して円滑化法後の対応について共通意識を持とうとする場だ。道信用保証協会の吉澤慶信会長に、ネットワークの目的などを聞いた。(写真は、北海道信用保証協会吉澤慶信会長)
 

 ――円滑化法が切れる来年4月以降、信用保証協会の代位弁済は増えるのか。
 
 吉澤 正直言って良くわからないというのが実情だ。金融機関に来年4月以降になってどんな影響が出てくるか聞くと揃って『期限が来たからといって、手の平を返すようなことはできない』という。しかし、その一方で金融庁の検査もあるので健全経営に向かっている企業と、いつまでも健全経営に向かえない企業は、やはりそれなりの対応をしていかなければならないということだろう。それが、どのくらいの件数なのか、まったくわからない。
 
 当保証協会の円滑化法適用債権は約740億円。円滑化法を利用している企業は、2回や3回と利用しているところが多い。代位弁済が増えるのかどうか、実際に期限が来て蓋を開けてみなければわからないのが実態だ。
 
 ――今回、いわゆる出口戦略の一つとして「北海道中小企業支援ネットワーク」が設立された。その狙いはどこにあるのか。
 
 吉澤 出口戦略の考え方は、中小企業の経営健全化を図っていくことにある。中小企業再生支援協議会などを活用して中小企業の支援をするのもひとつだが、この再生支援協議会に持ち込まれるのは中小企業でも大手が中心になる。
円滑化法で条件変更している債権のうち当協会が保証しているのは8000件。そこにはかなり小さい企業も入っている。そうした小企業の経営の健全化をどう支援していくか、それが今回のネットワーク設立の目的だ。金融機関、行政機関、経済団体の指導機関など51の組織が連携して中小企業の支援を考えていこうとする場だ。
 
 ――具体的にはどう進めていくのか。
 
 吉澤 金融機関単独で対応できる場合もあるし、連携して協調体制を取らなければならない場合もある。協調体制を取らなければならないときの連携の場にしようというのがこのネットワークだ。まず、ネットワークを立ち上げて再生に携わる各金融機関の目線を合わせる。様々な勉強もその中でやっていく。ネットワークを生かした個々の案件に関して金融機関と打ち合わせをしながら具体的にやる場合の方法論などを話し合うことになる。
 
 ――ネットワークにはメガバンクは入っているのか。
 
 吉澤 メガバンクは入っていない。金融機関として地銀、信金、信組が中心で案件ごとにJAなども参加することになる。国の意向もあって全国で同様のネットワークが設立され、多くのところで各地区の信用保証協会が座長というか事務局を務めることになった。
 
 ――既に金融機関同士でも連携を取る体制ができているのでは。
 
 吉澤 金融機関の中ではバンクミーティングを自主的に開いてひとつの企業に対する各金融機関の債権をどうするかを協議している地域も道内にはある。それは、組織としてではなく自主的な集まりのような場合が多い。今回のネットワークでは、そうした金融機関の自主的な集まりや動きと調整しながら進めなければならないと考えている。全体会合は年に2回か3回予定されている。9月20日に設立会合をしたので、次回は2月ころに開く予定だ。
 
 ――保証協会もコンサル機能を高める取り組みをしているが成果はどうか。
 
 吉澤 当協会が担当部署の人員を拡充してコンサル機能を高め始めたのは2年前から。実際にどのくらい効果として出てきているかは、数字的になかなか計るものがない。代位弁済や延滞が少し落ち着いていることがその成果なのかと推測はしている。

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