札幌に本社を置く独立系のフィナンシャルカンパニーFPLグループは、昨年12月にFPLフィナンシャルホールディングス(中川浩代表取締役兼CEO)を設立したのを記念して24日、ホテルオークラ札幌でフォーラムを開催した。シンクタンク・ソフィアバンク副代表の藤沢久美氏が「心の資本主義とは~日本人に求められる新しい生き方、価値観」と題して基調講演、その後時事通信社札幌支社長の倉沢章夫氏らを交えてパネルディスカッションも行われた。フォーラムには約70人が参加した。(写真は、講演する藤沢久美氏)
藤沢氏は、ソフィアバンク副代表のほか社会起業家フォーラム副代表や法政大大学院客員教授、金融庁金融審議会委員、経済産業省、総務省、内閣府の各審議会委員などの公職も多数務めている。
講演で藤沢氏は、世界は転換期にありキーワードは『大から小へ』、『正直であること』、『人間が問われる時代』の3つを掲げ、たった一人の人間でも正直で心という資本が本物で、熱い思いを持っていれば世の中の共感を得て世界が動くと指摘、「人間が一番大切という価値観」(藤沢氏)が転換期の世界の共通言語になりつつあることを強調した。
心と心の関係を重視して人づくりをしている企業が日本には多く、とりわけ中小企業には人が大事という考えが強いとし、「なるべく解雇せずに人を育て地域へのお返しを中小企業は大企業以上に考えている。大企業との取引関係も大事にしており、そうした日本の中小企業の姿を世界が学びに来るだろう」と語った。
また、若い世代について「私たちの時代は何もない時代だったのでお金や家、車を求めてハングリーだったが、若い世代は現代にないもの、つまり思いやりとか愛情を求めてハングリーになっている。こういうハングリー精神が個人ファンドの設立で社会貢献していくような形で発露している。お金に欲を乗せて流通させるのは終わった」と藤沢氏の視点で時代を切り取り、その断面を見せる分析も展開した。
最後に藤沢氏は、「常に誰かが犠牲になって成長していくことから、若い世代の持つ思いやりや愛情というハングリーなエンジンをどう成長に取り込んでいくのか。それを最初に日本が作り上げれば、新しい成長のモチベーションとして世界は変わっていくだろう」と締めくくった。
続いて行われた「北海道の自立を目指して、私たちのこれからの人生を見通す~釜石の奇跡から学ぶ金融災害への提言~」をテーマにしたパネルディスカッションでは、日本の財政破綻が起こるという前提で一人ひとりが考え行動しなければならない、という意見や北海道のコミュニティの中で年金の新しい仕組みを作ることができないか考えていくことも必要ではないか――などの意見が出た。