北洋銀行は2日、信用金庫の理事長を対象にした「第6回道内信用金庫トップセミナー」を開催した。冒頭、横内龍三頭取が挨拶、4月1日に新頭取に就任する石井純二副頭取も「北海道経済の再生にオール北海道で取り組まなければならない。信金業界の知恵もお借りしたい」と協調、協同を呼びかけた。セミナーでは、札幌北洋ホールディングスの独立社外取締役を務める馬杉榮一弁護士、中山厚北海道財務局長がそれぞれ講演した。(写真は、講演する馬杉榮一氏=左と中山厚氏)
 
 このセミナーは、北洋銀が信金との距離感を縮め、協力体制を敷くための土壌作りという意味合いを持つ。信金理事長と北洋銀のトップらが一堂に会する機会は年に一度のこのセミナー以外にはなく、交流の糸口をつくる場として北洋銀の前傾姿勢が目立つ。
 
 馬杉氏は「道内中小企業の事業再生システムの構築に向けて」と題して講演。
 倒産・再生法について、馬杉氏が携わってきた北海道住宅供給公社や芦別のカナディアンワールドなどの特定調停を引き合いに、法的な再生手続きを使わずに再生処理するメリットなどを説明した。
 
 また、民事再生法について、「中小企業を対象にしているが北海道の中小企業にとっては使いづらい。地方の経済状態にあった再生法の地方版が必要だが法律を作るのは難しい。法的整理と私的整理の中間を行くように弁護士や税理士、金融機関などがタッグを組んで対応していくことが不可欠」と述べた。
 
 馬杉氏は、既にこうした取り組みを進める『北海道税務・事業再生実務者ネットワーク』を設立しており、信金など金融機関を含めてこのネットワークをさらに大きくしていく必要性を強調、「東京や大阪ではできない人の繋がりを生かした地方型再生のシステムを作っていきたい」と信金理事長らに訴えた。
 
 続いて講演した中山厚氏は、馬杉氏の新しい再生手法について、「金融円滑化法の出口戦略として期待できる」とエールを送り、「来年3月末の金融円滑化法の終了で倒産は避けられないが、連鎖倒産は防がなければならない。どうやって融資先を連鎖倒産から守るか、弁護士や公認会計士、中小企業診断士などサムライ(士)関係者の連携と旧商社マン、大学教授といった専門家も起用して対応していくことが必要」と強調した。
 
 また、中山氏は国債に依存する日本の財政について、「家計の純資産から見て現在の国債発行で財政を賄うことは後2年しかもたない。国債消化が困難になり日銀の引き受けということになれば悪性インフレ、悪性円安で経済は破綻する。国債発行の信任を得るためにも増税は必要」とし、「大増税を避けるためにも増税は必要ということだ」と語った。
 


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