釧路信用組合が、信用組合の全国組織である全国信用協同組合連合会から3月末までに40億円の資本支援を受けることになった。昨年の30億円に続き2年連続の支援で、釧路信組の再建策が景気低迷の影響もあって改善していないことが明らかになった。
釧路信組は今3月決算で4期連続の赤字を計上する見込み。40億円の資本支援で財務内容を改善し、他の金融機関との合併など出口戦略を探るものと見られる。
釧路信組は元理事長の公私混同の融資が焦げ付くなど、財務毀損が数年前から表面化していた。2年前の6月に北海道財務局出身の浜田豊氏が監事から理事長に就任、財務の洗い直しを始め昨年3月には全組信連から30億円の資本支援を受けていた。
昨年の資本支援で、自己資本比率は6%強に改善したものの、協同組織金融機関関係者の間では、「30億円の資本支援を受けても自己資本比率が6%台というのは、債務超過だったのではないか」と語っていた。
この支援で、再建は軌道に乗るかと思われたが、その後の大口融資先の建設会社や地元スーパーの破綻で再び自己資本が毀損。今9月中間仮決算では5・16%に低下。国内金融機関の基準である4%に迫っていた。
融資先の倒産などによって、自己資本が毀損するのは、貸倒引当金の計上が甘かったことが原因。通常は、融資先の経営状態によって引当率を変動させる。
「引当率(カバー率)は、7~8割の金融機関もあれば5割程度のところもある。財務局の金融検査でカバー不足を指摘されば、引き当ての積み増しを行うが、釧路信組は財務局出身理事長ということもあって、その点が甘かったと言われても仕方がないのでは」(前出関係者)
2年連続となる全信組連の資本支援で自己資本比率は再び6%強になる見込みだが、抜本改革できるかどうかは、不透明。
金融円滑化法と緊急保証によって、倒産は減少しているが、信組には1000万円以下の小口融資も多くこうした零細企業向けの倒産・廃業は倒産集計にはカウントされていないため、隠れ倒産による影響はハッキリしない。
金融機関関係者はこう言う。「釧路信組の自力再生は難しいのではないか。室蘭商工信組は伊達信金と2~3年の提携期間を経て合併したが、今回も信金との提携を経て合併へ進むのではないか」
相手先と見られているのは、網走信金。釧路信組は、かつて破綻した網走信組の受け皿となったため網走地域にも融資先がある。室蘭信金が室蘭商工信組を合併しなかったように、同一地域で事業をしている信金と信組が合併するケースは稀。釧路信組と釧路信金が結びつくことは考えづらい。
金融当局である北海道財務局は道内金融システムを守ることが第一の仕事。と、なれば財務局出身理事長の釧路信組が取るべき選択肢は限られてくる。