金融機関が企業や団体に融資を行う際に、返済を確実に得るための保証付き融資の残高が落ちている。保証を行う北海道信用保証協会によると、今年度に入ってから毎月の保証承諾額は前年を割り込んでおり、直近の8月までの保証承諾額の累計は、前年同期よりも32%強減っている。
金融機関の保証付き融資は全融資額の2割程度とされているが、保証付き融資の伸びが止まっているのは、景気低迷の度合いが深刻度を増していることの証明でもある。
保証承諾額が前年を割り込んでいるのは、リーマンショックを契機に金融機関の中小企業向け融資の100%保証をする緊急保証が創設され、その利用が前年に急増していたことの反動という面もある。保証付き融資は年末や年度末に増える傾向があるため、今年度の保証承諾額の累計が前年度と比較してどの程度に落ち着くかはまだ見通せない。
各金融機関の4~8月の保証承諾額累計を前年同期と比較すると、道銀は251億1900万円で94・7%、信用金庫は635億1400万円で72・8%、北陸は102億8300万円で71・9%、信用組合は101億3500万円で64・6%、北洋は523億4400万円で57・3%。
いずれの金融機関も前年を割り込んでいるが、伸び率で見ると北洋はほぼ半減しているのに、道銀はほぼ前年並みを維持しており両行の融資姿勢が対極にあることが窺える。
各金融機関とも今年度の融資額が計画より下回っているのは明らかで、今後融資額の下方修正も各金融機関で具体化してくるとみられる。融資額が増えなければ貸出金利の減少につながり、預金の支払い金利と貸出金利の差である利ざやが減少、金融機関の収益にも影響を与えることになりそう。
道信用保証協会の吉澤慶信会長は、「企業の仕事があると資金が回転して資金需要が出てくるが、現状は貸出先が少ないという状況。ただ、一部には明るさが見ている。住宅着工が戻ってきており、分譲マンションや一戸建ての住宅メーカーでは更に事業を拡大したいと保証申し込みも増えている」と言う。
下期にかけて、円高・株安のトレンドがどう変転していくのかは見通せないが、今年度の保証付き融資額の累計が前年度を割り込むことは確実。企業の資金需要の減少は景気が足踏みしていることを如実に示しており、即効性があり、なおかつ持続的成長が見込める経済対策が火急になっている。
(写真は北海道信用保証協会本店ビル)