北洋銀行(本店・札幌市中央区)は、北海道大学との包括連携事業の一環として開催している「市民医療セミナー」の第3回を17日に北洋大通センター4階セミナーホールで開いた。『狭心症・心筋梗塞を防ぎ、治すには?』と題して北大病院副病院長で北大大学院医学研究科循環病態内科学教授の筒井裕之氏が約1時間講演、健康に関心の高い市民約100人が聴講、講演後には身近な質問も多く寄せられた。(写真は、講演する筒井裕之教授)
筒井教授は、1982年九州大学医学部卒。米国留学などを経て2004年に北大教授、13年から北大病院副病院長を務めている。
心臓の大きさは、人の握りこぶしくらい。1分間に80回、走ったり運動をすると1分間に100回くらい収縮拡張して全身に血液を送るポンプの役割をする。1日24時間で12万回、1年間で4200万回、80歳まで生きるとすると34億回も動くことになる。人間には1つだけの臓器と2つある臓器があるが、心臓と肝臓は1つしかない。肝臓は生体肝移植のように再生するが、心臓は筋肉なので再生できず代わりする臓器はない。
狭心症は、心臓へ繋がる血管が動脈硬化で狭くなり心臓への血液供給が不足する状態で、心筋梗塞は血管が詰まり心臓の筋肉が障害を受ける病気。心筋梗塞で心臓がポンプの働きを失った状態を心不全と言う。
筒井教授は、狭心症と心筋梗塞の症状について、「狭心症は胸が締め付けられ圧迫される症状で、高齢、肥満、喫煙が危険因子。心筋梗塞も胸が締め付けられる状態が長く続き、冷や汗や吐き気を伴う。痛み方の症状は似ているが、心筋梗塞は長く続く」と語り、「80代、90代では症状が軽い場合がある。狭心症や心筋梗塞に1度なった人は、2回目に症状が軽かったり稀に症状がでない場合もある」と注意を促した。また、糖尿病と心筋梗塞の関係は深く、心筋梗塞の3割の人が糖尿病と指摘した。
狭心症や心筋梗塞など心臓病は高血圧、脂質異常症、糖尿病、メタボリックシンドロームなどの生活習慣病によって引き起こされる。「高血圧はサイレントキラーと呼ばれ最大の敵。収縮期血圧(上の血圧)が140以上、拡張期血圧(下の血圧)が90以上は高血圧だが、なぜ血圧が高くなるのかと言うと、塩分を取りすぎて体液が増え、それを排泄しようとするから」と述べ、塩分を減らしカリウムが多く含まれる野菜、果物、豆類、イモ類を食べてナトリウムを排泄しやすくすることが大切と語り、「減塩と1日30分の運動は、狭心症、心筋梗塞の予防に効果的」と強調した。
講演後には参加した市民から「ステントを入れなければならない血管の詰まり具合は?」や「心臓の血管が石灰化していると言われた…」、「血圧はいつ測ったら良いか」などの質問が寄せられ、筒井教授は一つひとつの質問に丁寧に答えていた。
なお、4回目の市民医療セミナーは7月16日に『脳卒中の予防と治療』をテーマに寳金清博北大病院長が講演する。参加問い合わせは、北洋銀法人部(☎011・261・2579)