北洋銀行は6月25日開催の定時株主総会で社外取締役に林美香子氏(慶応大学大学院特任教授)と祖母井里重子氏(弁護士)を新たに選任、社外取締役を3人体制にする。6月から東京証券取引所のコーポレートガバナンス・コード(企業統治原則)が適用されたことに伴う経営の透明性確保のためで、東京などでのIR(インベスター・リレーションズ=企業が投資家に経営状況などを情報提供する活動)でも前向きの評価が多いという。(写真は、北洋銀行の横内龍三会長)
北洋銀の横内龍三会長は、社外取締役をこれまでの2人から3人に増やしたことについてこう語っている。
「2人からもう少し増やしたいという考えはずっとあった。外国人投資家が増えてくると、2人どころか取締役の2~3割は社外取締役でなければいけないという感覚だ。株主総会で株主の議決権を代理行使する機関があるが、そこが一定の基準を設けて社外取締役のウエートが少ない企業の議案に対しては反対投票すると言っているほど。そうしたことから3人体制にすることにしたが、まだ十分ではないかもしれない」
同行では、2010年6月から弁護士の馬杉榮一氏と公認会計士の山崎駿氏を社外取締役に選任している。横内会長以下、社内の取締役は12人だが、「2人の社外取締役が入ったことで取締役会の議論が活発化してきた」(横内会長)と言う。
今回、山崎氏が退任し2人の女性が新たに選任されることになるが、女性に絞ったことに横内会長は、「政府の成長戦略でも女性の役割を高めることが盛り込まれている。当行内部から女性の取締役が誕生するまでにはもう少し時間がかかる。その間、取締役になれる女性に非常勤取締役で入ってもらい、女性の立場から見た銀行経営を議論してもらおうということで2人を社外取締役候補として総会提案することにした」と語った。
林氏は北大農学部卒でSTVアナウンサーを経てフリーになり、農業にも詳しい。祖母井氏は弁護士で企業経営にもタッチしている。また、横内会長と同じ北海道公安委員でもある。
社外取締役は馬杉氏を加えて3人になるが、首都圏で実施しているIRでも、こうした取り組みはコーポレートガバナンスを強化する体制作りをしていくうえで時宜にかなった良いことと前向きの評価が多いという。「社外取締役を増やして企業経営の透明性を高めるとともに、銀行内部から女性取締役が出てくるようにしたい」(横内会長)としている。