札幌医科大学(札幌市・島本和明学長)と稚内信用金庫(本店・稚内市)は4日、産学の連携発展に寄与するとともに北海道の保健・医療・福祉の向上など地域社会の発展に寄与することを目的に包括連携協定を締結した。稚内信金の店舗を使い地域住民に札医大の教授や学生がメディカルカフェを実施したり、地域経済について信金職員が学生向けに講義する取り組みなどが具体的に実施される。(写真は、包括連携協定調印式。左が島本和明学長、右が稚内信金増田雅俊理事長=札医大提供)
信用金庫は、地域経済だけでなく地域社会の持続可能性を高める役割がある。地域の人口減少は少子高齢化の自然減とともにその地域に住む高齢者が医療体制の充実した札幌圏に転出する社会的現象も相互に影響している。
札医大では2015年度から卒業後9年間は道内での研修や勤務を義務付ける道内枠を拡充、地域医療に貢献する人材育成に力を入れることにしており、こうした背景から稚内信金は包括連携協定を締結、連携して地域住民の健康づくりや地域医療に携わる人材育成を進め地域社会の持続可能性に貢献していくことにした。
また、札医大は以前に利尻島に札医大臨海医学研究所を開設していたことから、医学研究と学生実習を通じて宗谷地域との関係は深く、今回の連携協定でさらに関係強化が図られるものと期待される。
協定の調印式が行われたのは7月4日だが、奇しくもこの日は同信金の増田雅俊理事長にとってかけがいのない日だった。というのも、42年前の72年7月4日、増田理事長は札医大胸部外科の故和田寿郎教授を中心とする医師団による心臓手術を受けたからだ。術後、和田教授から「60歳までは大丈夫」と言われ、稚内高校を卒業したばかりの増田氏はその日をもうひとつの誕生日に決めたという。手術から42年目に当たるこの日が調印式と重なったことで札医大との協定は増田理事長にとってひと際大きな意味を持つことになったようだ。