北洋銀の株主総会で石井純二頭取「金利下げ止まらず国債利回りも低い。収益環境の厳しさは当面続く」

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IMG_8210IMG_8217 北洋銀行は25日、第158期定時株主総会を札幌市中央区のホテル札幌ガーデンパレスで開催した。冒頭、石井純二頭取は15年間で返済する予定だった公的資金1000億円を10年前倒しで3月末に全額返済したことを報告、新中期計画で企業価値、株主価値をさらに高めていく考えを示した。その後、事業報告を経て剰余金配当、取締役選任などの議案を拍手で議決、57分間で終了した。株主約360人が出席した。(写真は、株主総会で議長を務める石井純二頭取=モニター画面を撮影)
 
 
 
 事業報告の後に受け付けた株主からの質問は5つ。「公的資金返済後も株価が上がらないのはなぜか」、「休眠口座の取扱いはどうしているのか」、「法人税率が下がることによって剰余金は上振れするのか」などでいずれも平時モードの質問だった。
 石井頭取は、株価に対する質問に、「昨年4月1日と今年3月末の株価を比べると40%上がった。同じ期間の地銀平均は5%高なので同業他社と比較しても上がっている。日経平均の株価上昇率は26・8%なのでそれも上回っている」と説明。さらに「新中期計画で北海道のポテンシャルを具体的価値として実現していくことに果敢に挑戦し、マーケットの評価を高めていきたい」と答えた。
 
 休眠口座の取り扱いについて、北洋銀では10年間全く動きのない口座で預金者を特定できないものを雑益として計上していることを説明、「国の管理で違うものに使っていけるように検討されているが、当年度は雑益として11億円を計上、毎年この程度の利益になっている」とした。
 
 法人税率が下がることによる収益への影響については慎重姿勢を強調、「法人税の税率が下がっても繰り延べ税金資産取り崩すことになるケースも出てくるので法人税率がどうなるのか見極めたい」としたうえで、「入りのベースでいくと、大きな収益源である融資の金利がまだ下げ止まらない状況で有価証券1兆5000億円の運用も国債利回りが下がっていることから非常に厳しい。入りの部分は厳しい状態が当面続く。税金が減るからと言って剰余金が増えることには繋がらないと思う」と述べた。
 
 その後、決議事項の説明に移り、配当を前期より3円増配の1株年間6円とし、2015年3月期は年間7円に増配すること、近江秀彦常務執行役員本店営業部本店長(56)、東原幸生執行役員函館中央支店長(55)、長野実執行役員旭川中央支店長(54)、安田光春執行役員融資第一部長(54)の新任取締役を含む14人の取締役選任すること、曽我浩司監査部長(58)を監査役に選任することをそれぞれ拍手で議決した。
 
 石井頭取が株主総会の議長を務めるのは臨時株主総会も含めると4回目。丁寧で落ち着いた答弁が目立った。

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