DSC_6526 一般社団法人北海道信用金庫協会(略称・北信協)は24日、道内23信金の2014年3月期決算をまとめた。市場環境の好転で運用益が増加したことと倒産が少なく貸倒引当金など信用リスクが低減した影響で全23信金が黒字を計上した。オール信金の黒字は2005年3月期以来9期ぶり。しかし、資金需要が低迷し貸出金は前期比0・1%の微減。数年後に訪れるとされる預金減少時代への備えは不透明だ。(写真は、北見信金本店)
 
 
 
 北信協のまとめによると、預金総額は個人預金を中心に堅調で前期比2・1%増の6兆7850億円。一方、貸出金総額は同0・1%の微減で3兆302億円になった。預金をどれだけ貸出しに回しているかを示す預貸率は44・66%で過去最低だった前期よりも1・04ポイント縮小し過去最低を更新した。預貸率が上昇したのは4金庫で低下したのは19金庫。最高は渡島信金の67%、最低は稚内信金の22%だった。
 
 貸出金金利から預金利子を差し引いた預貸金金利ザヤの比率は0・94%で前期より0・04ポイント低下している。貸出金利は地銀との金利競争が響き2・01%と同0・09ポイント下がった。
 本業の貸出金利息収入は592億円で前期より28億円、4・5%減少、5期連続の低下。ただ、減少幅は前期の5・3%よりも若干改善している。
 
 本業が厳しい中で、市場環境の好転によって有価証券の売却益や配当収入が上昇、また倒産が少なかったことによって貸倒引当金が戻ってきたり引当金の積み増しが必要なくなったなど信用リスク関連の費用が低下、純利益は197億4200万円と前期より77・4%増加、1997年3月期の208億円に次ぐ過去2番目の黒字額になった。
全23信金の総資産は7兆3367億1400万円で有価証券の比率は37%、2兆6601億円。内訳は地方債40%、社債32%、国債22%、その他証券6%となっている。
 
 北信協の伊藤修治専務理事は「予想外の好決算だったが、本業の環境は厳しい。先行きに危機感を持っている金庫は多い」と述べ、慎重姿勢が引き続き必要という見通しを示した。
 
 地域に基盤を置く信金は、地域経済と一心同体。地域が持続的成長をしていかない限り信金経営も成り立って行かない宿命にある。地域の将来をどう描くか、行政、信金、農協、漁協、商工会・商工会議所などによる地道な地域の横連携が求められる。

【2014年3月期道内23信金の決算概況】
(信金名、経常利益、業務純益、当期純利益の順。単位は百万円、カッコ内は対前期比の%で▲はマイナス)
 
■札幌 2,457(41・2) 2,797(18・4) 1,439(28・0)
 
■室蘭 1,342(76・5) 1,126(▲43・6) 852(100・4)
 
■空知 687(▲13・3) 847(▲15・9) 607(9・1)
 
■苫小牧 1,278(▲37・9) 2,355(▲20・7) 828(▲38・8)
 
■北門 628(10・7) 690(▲19・3) 518(16・1)
 
■伊達 1,231(170・5) 580(▲55・6) 1,143(178・1)
 
■北空知 205(▲4・2) 637(180・6) 131(▲9・6)
 
■日高 651(87・6) 687(41・3) 634(69・9)
 
■函館 60(▲81・8) 511(9・8) 48(▲84・7)
 
■渡島 1,600(245・7) 1,212(▲2・2) 1,340(200・2)
 
■江差 460(▲17・1) 484(▲8・1) 410(▲13・1)
 
■小樽 280(1・4) 317(▲23・4) 264(10・0)
 
■北海 1,031(145・3) 1,596(36・9) 925(142・3)
 
■旭川 3,413(7・9) 4,383(5・6) 2,385(13・8)
 
■稚内 1,805(8・9) 2,154(1・3) 1,329(17・9)
 
■留萌 559(46・3) 899(▲1・1) 272(17・2)
 
■北星 1,126(19・7) 1,322(21・3) 744(26・5)
 
■帯広 2,627(21・6) 3,559(22・8) 1,606(7・7)
 
■釧路 471(83・2) 813(▲3・4) 353(87・7)
 
■大地みらい 1,140(▲3・4) 1,300(▲8・2) 656(1・0)
 
■北見 1,895(14・6) 1,945(▲15・6) 1,374(41・0)
 
■網走 1,490(43・5) 1,567(38・6) 1,125(55・1)
 
■遠軽 1,103(4・8) 1,489(22・8) 759(5・8)



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