北洋銀行は20日、北海道大学大学院医学研究科がん予防内科学講座と連携して開催している2014年度「市民医療セミナー」の2回目を北洋大通センター4階セミナーホールで開いた。講師は北大病院光学医療診療部の小野尚子助教。『内視鏡治療はここまで進歩した』をテーマに講演、市民ら約110人が聴講した。(写真は、講演する小野尚子助教)
小野氏は、1997年に弘前大医学部を卒業して、北大医学部第三内科に入局、北大病院に転じて現在は助教。国内の内視鏡治療の第一人者。内視鏡はファイバースコープの時代が第一世代でビデオスコープ、電子顕微鏡を経て現在はハイビションモニターカメラの第四世代と言われている。
口から入れる上部内視鏡では咽頭から十二指腸まで、下部内視鏡では肛門から回腸末端まで見ることができる。
内視鏡で何を見ているかについて、小野氏は「間違い探しをしています。色や凹凸など周りと違うところを探すのが内視鏡治療のスタートです」と語り、450倍から1000倍まで拡大することができるため癌やポリープ、潰瘍、炎症、出血などを見つけやすく、診断や治療、治療後の評価などを行えるとスライド写真や動画を利用して丁寧に解説した。
内視鏡治療では、「取る、切る、止める、拡げる、縫う、焼く」などの処置や手術ができESD(内視鏡的粘膜下層剥離術)では85mm×45mmまで対応できると紹介した。
小野氏は、内視鏡治療が進化しているとして、「大きな病変でも一括して取れることや耳鼻科領域でも対応でき、疾患している全層が切除可能というメリットがあります。また体への侵襲が少なく機能も温存することが可能です」と述べた。ちなみにESDは全身麻酔ではなく安定剤や鎮静剤を使用し痛み止めの処置をしてから行うが、「私は(患者の負担を考えて)最大でも2時間を超えないようにしています」と話していた。
次回の市民医療セミナーは、6月24日(火)午後1時半から同ホールで「がんの緩和医療 つらくなく治療を受けるために」と題して北大病院腫瘍センター診療准教授の田巻知宏氏が講演する。無料、定員120人。参加申し込みは、北洋銀行法人部(電話011・261・2579)へ。