国の産業競争力会議の道内版である「北海道産業競争力協議会」(委員長・山口佳三北大総長、事務局・北海道経済産業局、道庁)は12日、第2回会合を京王プラザホテル札幌で開催した。昨年11月の第1回会合以降、札幌を含む道内5ヵ所で実施した地域意見交換会で浮き彫りになった課題を委員18人で討議、「食関連」、「観光関連」を戦略成長分野と位置づけ、3月に成長戦略としてまとめる。(写真は、第2回北海道産業競争力協議会=左と高橋はるみ知事。2014年2月12日午後)
事務局の道経産局と道は、昨年11月の第1回会合で出された北海道が優位性を持つ「食」と「観光」の2分野について帯広や網走、函館、旭川、札幌の5地域で意見交換会を実施。その結果、①地域資源の発見力・付加価値力の弱さ②地域内・地域間・業種間の連携の弱さ③人材育成・確保――3点の克服強化が「食」と「観光」の成長には欠かせない課題であることが浮き彫りになったと報告。札幌の意見交換会では「産業競争力は、人材競争力だ」という声が多数あったという。
会合では、これらの課題を叩き台にして委員がそれぞれ意見を表明。北海道ガーデン街道の林克彦代表取締役は「エゾシカ肉や山菜など北海道はジビエの天国。これをどう活性化していくかが重要」と述べ、美瑛町の浜田哲町長は、「魅力発信のため町内外にネットワークを張ることが大切で、ヤフーの廃校を利用した研修所開設もこうしたネットワークづくりの一環」と取り組みを紹介した。
また、特定非営利活動法人北海道病院協会の徳田禎久理事長は、「地域中核都市には医療・福祉・介護の視点が絶対に必要。気になるのはここにいる委員が情報を共有しているかどうかという点。北海道の現状を共有して議論しなければならない」と訴えた。坂本眞一会長の死去に伴い今回から参加した北海道観光振興機構の北山憲武専務理事は、「新千歳空港の深夜早朝便拡大と丘珠空港活性化が不可欠」とし、北海道経済連合会の近藤龍夫会長は「食と観光が戦略分野ということは当たり前のこと。道経連はもう走っているのにこの種の会合ではいつも入り口論に終始する。当たり前のことで今更ながらだが、総論だけで終わらず各論まで下りてきた議論を積み重ねて成長戦略をまとめて欲しい」と注文を付けた。
今回から新たに委員になった北海道農業中央会の飛田稔章会長は、「成長には競争が必要と言うが、農業者にとって成長は競争だけでは語れない。農業分野は競争にプラスして協同や連携の視点も取り入れて地道にやっていくことが大事だ」と意見を表明した。
議論を締めくくった高橋はるみ知事は、「人口減少の中で外国人労働者をどう考えて行くか、真正面から議論していかなければならないタイミングだ」と今後の20年を見据えた成長戦略を策定するうえで外国人労働者の受け入れに前向きな発言も行った。同協議会では、3月にこうした意見を踏まえた成長戦略を策定する。