データセンターなどの騒音対策に効果、ヤブシタが国内初「低音域30dB遮音パネル」開発

経済総合

 建設業など16社のグループ会社を擁するヤブシタホールディングス(本社・札幌市中央区)傘下の1社で、空調・冷熱部材メーカーのヤブシタ(同・同)は、防音の常識を覆す、低音域で30dB(デシベル)の遮音性能を持つ遮音パネルを、国内で初めて開発した。従来は難しかった低音域の騒音対策に対応し、データセンターの冷却装置や蓄電所のパワーコンディショナ、蓄電池設備などから発生する騒音の低減に効果を発揮する。(写真は、ヤブシタの遮音パネル実験室で説明する冷熱・PV部設計課の山口哲太リーダー)

 ヤブシタは、空調機器や冷凍機器の部材を製造・販売しており、こうした機器から発生する音の防音部材も手掛けてきた。防音のニーズは、蓄電所のパワーコンディショナや蓄電池設備、データセンターの冷却用チラー(冷却水循環装置)などから発生する騒音に対して高まっている。一般的なビル用マルチエアコンの室外機の騒音は、1m離れた地点で60dB(普通の会話程度)とされる。一方、空調用チラーは70dB(騒々しい事務所内程度)、パワーコンディショナや蓄電池関連設備では80dB(電車の車内程度)となる場合がある。

 今後、こうした施設・設備は、市街地近郊や周辺環境への配慮が求められる場所に設置されるケースの増加も見込まれ、遮音対策は、避けて通れない課題となっている。隣地境界線上では、騒音を規制基準以下に抑える必要があり、遮音壁で設備を囲う対策がとられることも多い。しかし、低音域の騒音は対策が難しく、従来の薄型パネルでは十分な遮音性能や吸音性を確保しにくいうえ、壁面での反射音の対策も課題。加えて、設備の周りを囲う対策では、排熱を考慮した設計も必要になる。

 ヤブシタは、これまでにパンチング層、グラスウール吸音層、空気層、鉄板の4層からなる4㎝厚の遮音パネルを開発、空調機器向けなどに提案し、実績を重ねてきた。今後は、パワーコンディショナや蓄電池関連設備など、より騒音の大きい設備への対応も見据えて開発を進めてきた。なかでも、低音域の騒音は対策が難しく、低音域でも十分な遮音性能を求めるニーズが高まっている。そこで今回、125Hz以上の低い周波数帯域で30dB以上の遮音性能を実現した30cm厚の遮音パネルを開発した。あわせて15㎝厚、20㎝厚の遮音パネルもラインナップ予定で、発生音の周波数特性や設置状況に応じた提案の幅を広げることができるようになった。

 同社の強みは、遮音パネルの部材提案に加え、設置箇所ごとの排熱気流と騒音の両面を自社で解析し、提案できる点にある。今回開発したパネルを含めて4種類が揃うことから、さまざまな遮音ニーズに対応できる体制が整った。開発を担当した冷熱・PV部設計課の山口哲太リーダー(36)は、「低音域の音は遮音が難しいが、125Hz帯で30dBの遮音性能を実現したことで、これまで対応が難しかった低い音にも提案できるようになった。パワーコンディショナや蓄電関連設備、チラーなどの設置状況に応じた遮音ニーズに対応していきたい」と話している。

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