札幌証券取引所は、機関投資家などプロ投資家向けの新市場「Sapporo PRO Frontier Market(サッポロ・プロ・フロンティア・マーケット)」を2026年春に開設する。プロ投資家向け市場は、東京証券取引所、福岡証券取引所が開設している市場に次いで3件目となる。札証は、一般投資家向けの新興市場「アンビシャス」を開設しており、スタートアップが成長できるシームレスな体制を整え、北海道経済の発展に貢献する。
(写真は、「Sapporo PRO Frontier Market」の開設を発表する札証関係者=2025年12月19日午前)
「Sapporo PRO Frontier Market」は、道や札幌市、金融機関、経済界などで組織する「Team Sapporo-Hokkaido」が進める「北海道・札幌GX金融・資産運用特区」の取り組みの一環。成長意欲の高いスタートアップなど未上場企業に、札証のアンビシャス市場や本則市場へのステップアップに繋がる選択肢を提供する。
新市場に上場するためには、札証が業務委託するS-Adviserが審査、純資産や利益の上場基準を満たせば、上場申請から10日間で上場承認をする。上場前の監査期間は、アンビシャス市場などが2年間なのに対して1年間とする。上場準備を開始してから上場までは、通常5年程度かかるが、新市場は2年と短くなる。内部統制報告書は作成しなければならないが、提出は任意で、四半期の開示も任意。新規上場に必要な費用は、上場時に資金調達を行うか否かで150万円から250万円に分かれる。年間上場料は、上場1年目から5年目までが年間24万円、以降、経過年数に応じて段階的に上がるように設定して、早期のステップアップを促す。
東京プロマーケットの審査主体J-Adviserや福岡プロマーケットのF-Adviserは、証券会社以外のM&A仲介会社や経営コンサルタント会社が務めており、J-Adviserは21社、F-Adviserは9社で構成されている。S-Adviserは現在6社が内定しており、2社がほぼ内定、8社で構成する(いずれもJ-Adviser構成会社)。また、S-Adviserが上場後も継続して経営を支援、成長に伴走する。
札証では、年間2社程度の上場を見込む。2025年12月19日からパブリックコメントを実施して意見を集める。新市場は、東証のプロマーケットのシステムを利用することになっており、全証券会社での試験運用を休日に実施するなど日数を要するため、2026年4月末から5月の大型連休明けの開設となりそう。
札証の長野実理事長は、「道内でもインキュベーション施設やコワーキング施設ができるなど、スタートアップの支援体制が生まれている。新市場開設によって、そうした施設を含めたハブ的な機能ができれば良いと考えている。自治体もスタートアップ支援に動いており、連携を通じて全体感を持った動きができるようにしたい」と話した。なお、札証アンビシャス市場に上場している伸和ホールディングス(本社・札幌市西区)は、2023年1月に東京プロマーケットに上場後、2024年10月にステップアップ上場した。



































