「2025北海道ニューフロンティア経営セミナー」①ニトリ似鳥昭雄社長「人がやらないことをやる」

経済総合

 北海道の異業種交流組織「一への会」は2025年9月16日、札幌市中央区の京王プラザホテル札幌2階エミネンスホールで、「2025北海道ニューフロンティア経営セミナー」を開催した。今年のテーマは、『北海道のポテンシャルを今こそ活力へ~新たな経営戦略を探る~』で、一への会会員や道内企業の経営者など約1000人が聴講した。(写真は、挨拶する一への会会長の水戸康智会長)
(写真は、1講目の講演をするニトリ・似鳥昭雄社長)

 最初に、一への会の水戸康智会長(萌福祉サービス社長)が登壇。水戸会長は、「一への会は、設立から40年を超える歴史ある異業種交流団体。活動の一環として毎年開催しているセミナーの今回は、『北海道のポテンシャルを今こそ活力へ』をテーマにした。北海道には、観光、食、エネルギー、ITなど可能性がたくさん眠っている。その可能性は、誰かがこじ開けて利益をもたらしてくれるものではない。私たちが新しい価値を見いだし、発展させ、北海道を豊かにしなければならない。今回のセミナーが、北海道を一歩前に進める力強いメッセージになると信じている」と挨拶した。

 1講目は、ニトリ(札幌本社・札幌市北区、東京本社・東京都北区)の似鳥昭雄社長が、『運は創るもの~私の履歴書~』と題して講演。似鳥社長は、「ロマンとビジョンがあるから、意欲と執念、好奇心が出てくる。ロマンは志。私の場合は、何でもいいから一番になるという志を持って経営してきた。札幌で一番に、北海道で一番に、日本で一番に、アジアで一番に、世界で一番にとやってきたら、本当に一番になった」と、ロマンとビジョンの力を説いた。

 また、「製造から卸、輸送、物流センターまで、全て自分たちでやることによって、利益がニトリグループに入ってくるようにした。そうすれば、売価は3割から半分くらい安くなって、利益は50%以上取れるようになった。ありとあらゆることを自分でやる。人と同じことをしていたら人と何も変わらない。人がやっていないことを探してやるべきだ」と訴えた。

 ニトリが本州に進出した当時を振り返って、「津軽海峡を渡って本州に進出するのは、ものすごく勇気がいることだった。でも、北海道で一番になっても、たかがしれている。本州、中でも関東に進出しないと全国で一番にはなれないと思い、千葉県と茨城県に進出したが、うまくいかなかった。何店舗目かの時に、神奈川の南町田に出店したら、普通は年間3~4億円の売り上げなのに15億円売れた。それで、神奈川県、埼玉県にシフト、2県に絞って出店していった。関東には60歳で進出、当時は100店舗だったが、20年経って1000店舗を超え、売り上げも10倍になった」と、集まった経営者に本州進出の重要性を述べた。

 銀行との関係についても言及、「銀行は、雨の日には傘を貸さないことを身をもって体験したことがある。銀行に世話にならないで、自立するにはどうするか、それには利益が必須だ。利益は売り上げだの10%を出さないと自立していけないし、銀行借り入れをしないのなら、15%が必要で、それを目標にやってきた。結果、今は無借金で、島忠のM&A費用2100億円も自己資金で対応できた。毎年、1000億円以上が手持ちに残るようになった。銀行に頼っていたらそうはならなかった」と述べ、自立経営の大切さを語っていた。(続く)

関連記事

SUPPORTER

SUPPORTER