ヤマトHDとファイターズスポーツ&エンターテイメント、「エスコンフィールド北海道」でロボット活用の移動販売と運搬作業支援

経済総合

 ヤマトホールディングス(HD、本社・東京都中央区)とファイターズスポーツ&エンターテイメント(同・北広島市)は、エスコンフィールド北海道で、自動運転ロボットを活用した移動販売の実証実験と作業支援ロボットによるビール樽の運搬実験を始めた。いずれもヤマトグループが出資している中国のスタートアップ、ユアーズテクノロジーズが開発したロボットを活用するもので、エスコンフィールド北海道を社会実装の場として実用化に向けた課題解決に繋げる。(写真は、自動運転ロボットを活用した移動販売の実証実験)
(写真は、作業支援ロボットを活用した運搬作業支援)

 ヤマトHDとファイターズスポーツ&エイターテイメントは、2023年3月に物流パートナーシップ契約を締結、エスコンフィールド北海道を含むFビッジの物流効率化、最適化を進めてきた。既に地場運送業者と受発注の仕組みを構築、納入時刻が集中しないようにコントロールしてジャストインタイムで配送、館内外で止めない物流を実現している。

 今回、ロボティクス活用の一環として、自動運転ロボット「ユアーズロボティクス」による移動販売の実証と作業支援ロボット「サポット」を活用したビール樽搬送の試験導入を開始した。「ユアーズロボティクス」は3台導入、球場内で食品や物品を最大100㎏積載して、球場内を自動走行して自動販売を行う。

 お客がスマートフォンでQRコードを読み込んで注文すると、ロボットの蓋が開いて、注文の品を受け取ることができる。積載庫内の温度は、マイナス18℃から55℃のため、冷凍、冷蔵、常温、保温の温度帯で利用できる。ロボットのサイズはベビーカーと同程度で、小型タイヤ6本により小回りよく動けるようになっている。自重は100㎏。ユアーズテクノロジーズは、ライダーセンサー技術(光を使って対象物の形状と距離を計測するリモートセンシング技術)に長けており、導入したロボットの安全性は、確保されている。

 作業支援ロボット「サポット」は、作業員の歩行に追従して自動走行するロボットで、1台を導入した。これまで作業員が台車を使って運んでいた店舗への配送を代替することができる。ビール樽を球場内の店舗57ヵ所に配送するには、これまで作業員が台車に樽を積んで納品する作業を10往復ほどしていたが、この作業ロボットは、最大で1tまで一度に運ぶことができるため、作業時間は、4時間から2時間に半減できるという。

 ヤマトHDの齊藤泰裕イノベーション推進機能シニアマネージャーは、「ロボットによる移動販売では、実際にお客さまに体験してもらい、日本にカスタマイズした形でサービスを提供したい。エスコンフィールド北海道での実証展開を経て、国内での普及を検討したい」と話した。また、ファイターズスポーツ&エンターテイメント三谷仁志常務取締役事業本部長は、「ロボットを見る機会はなかなかないので、お客さまにワクワクドキドキしてもらうことでエスコンの体験価値が高まる。10万㎡の広さがあって試合時は3万人、試合がない時も数百人、数千人が来場する。いろんな顔があるエスコンを、今後も新技術のフィールドとして有効活用していきたい」と語っていた。

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