北海道の若手経営者を官民で育てることを目的としている北海道経営未来塾(塾長・長内順一未来経営研究所社長、元ニトリ特別顧問)は2025年6月17日、札幌市中央区の札幌パークホテル3階「エメラルド」で、第1回定例講座を開催した。アインホールディングス(本社・札幌市白石区)の大谷喜一社長が、『成長への挑戦』をテーマに約80分間講演した。(写真は、北海道経営未来塾第1回定例講座で講演するアインHD・大谷喜一社長)
大谷社長は、塾生32人を前に、「人生は出会いが大切だ。どこで出会い、どういう関係を構築してきたかが、経営にも影響する。いい出会いがあって今日がある」と出会いの大切さを強調した。その一例として、このほどM&Aをした「さくら薬局」について述べ、「『さくら薬局』の買収が朝刊に出た時、私は出張先でホテルにいたが、似鳥さん(昭雄氏、ニトリホールディングス会長)から電話があって『これだよこれ、よくやった、偉い。これからも応援するよ』と言ってくれた。私にとって似鳥さんは、とてつもない人。その似鳥さんからの電話にじんと来た」と述べた。大谷氏にとって似鳥氏は兄貴分で、絶えず似鳥氏から刺激を受けてきた。出会った時は、ニトリが年商2000億円の頃。大谷氏はいつも、似鳥氏から今の状態に満足したらだめとハッパを掛けられてきたという。「初めて会った時から、胆力があってすごい人という印象は変わらない」と述べ、出会いの大切さを紐解いていた。
500億円でインテリア雑貨のフランフランをM&Aしたことについて、「ずっと欲しかった企業だ。製造小売りで粗利が60%もある。アインズ&トルペは、都市部にあって7割が女性客。フランフランは、郊外にあって5割が女性客。今後は、250~300坪の店で2ブランドを併合し、おしゃれでわかわいい価値を提供していきたい」と話した。大谷氏は、前身の第一臨床検査センター時代に手掛けた多角化の失敗や、競争の少ない成長市場への挑戦の重要性についても言及した。