P1070731P1070734 道の公営企業管理者から6月末に苫東新社長に就任した成田一憲氏(62)。道庁時代に培った幅広い人脈と飾らない人柄を活かして苫東に新風を吹き込むことを期待されている。アベノミクスで設備投資が活発化しており、国内に残されたポテンシャルの高い苫東は製造業だけでなく食品や6次産業の拠点としても注目を集めている。就任からおよそ3ヵ月、成田新社長に「苫東の今」を聞いた。(写真は、成田一憲社長と苫小牧市字柏原の苫東本社)
 
 ――道の総合政策部長から2年間の特別職(公営企業管理者)を経て6月末に苫東社長に就任されましたね。
 
 成田 平成11年の新会社設立から8代目の社長に就任しました。苫小牧の駅前に住居を移して苫小牧市民にもなりました。いろんな人に苫東に関心を持っていただき、『苫東』を気になる存在にしたい。
 
 ――苫東の工場操業など現状を教えてください。
 
 成田 総面積は1万700haで緑地や開発しないところもあるので分譲可能なのは5500ha。そのうち1000ha強が分譲済みです。広さと緑、それに苫小牧港や新千歳空港からの至近であることをアピールして企業誘致を進めてきました。進出企業数は96社で操業しているのは67社、未操業29社です。
 
 ――苫東で操業している企業の特色は何でしょうか。
 
 成田 自動車関連の集積が進んでおりアイシンをはじめ15社があります。宮城県にある「トヨタ自動車東日本」は、トヨタの組み立て完成車工場としては愛知、九州に続く第三の工場ですが、そこではハイブッド車の開発が進んでおり苫東からの部品供給、サプライチェーンの深まりが見られます。自動車関連の繋がりを活かした集積が進めば良いと思っています。
 
 成田 今年、苫小牧港が開港50周年を迎えましたが、北極海航路も次第に現実味を帯びてきているので国際的観点から物流拠点としての発展も望める。例えば欧州のロッテルダムは世界第3の港ですが、今はスエズ運河回りで日本を往復している。北極海航路が実現すると日本の北にあればあるほど有利になります。ロッテルダムからスエズ運河を通って日本国内へ来る従来航路の6割の距離になります。苫小牧港は北海道最大の貨物取扱量を誇る港ですから、将来的に北極海航路を見据えながら、どんな荷物を運べば優位性があるかを研究中です。
 
 ――時代に合わせた企業の誘致も必要だと思います。例えば植物工場なども期待できるのでは?
 
 成田 苫東には食品メーカーがまだ進出していません。北海道は食料基地だし安倍政権でも農業の6次産業化、輸出拡大が唱えられているのでそういった面でも役割を担っていきたい。雪氷利用の食料備蓄基地の構想もあるし植物工場も期待できます。様々なメーカーが苫東に進出してきているので6次産業化もチャンスとして捉えていきたい。
 
 ――苫東は多様なエネルギーが豊富にあるのも魅力ですね。
 
 成田 苫東には火力発電所のほかにもソーラー、天然ガス、工場排熱も利用できますしバイオマスの可能性もあります。エネルギーの多様さを活かしながら食関連の産業進出に向けて努力していきたい。
 
 ――食関連企業の個別誘致には取り組まれていますか。
 
 成田 個別の企業訪問はこれからです。フード特区に指定されている道内各都市や道経連とも連携しながら具体的にどんなことができるか、取り組みを進めています。
 
 ――新社長としてどういう組織運営をしていきますか。
 
 成田 3ヵ年の中期計画が今年度で終了するので来年度からの中期計画を今年度中に策定します。そこで具体的なことを盛り込んでいきますが、物流、エネルギー、食などのほかバックアップ拠点としてデータセンターの誘致も進めます。経営的には比較的安定していますが、約20人の限られた人数なのでチームワークのある組織運営をしていきたい。
 
 ――就任以来、東京などで誘致プレゼンテーションも経験されていますが、反応はどうでしょう。
 
 成田 国内にまだこれだけの面積の土地があるということと自動車関連の工場が多く、メガソーラーが集積していることなどから関心は高く、話題になっていることを実感しています。いろんなお客様が連日のように来訪されるのも関心の高さを裏付けていると思います。
 
 国内のメーカーが海外に進出するのはどういう要因なのかを改めて考えながら、それを置き換えられるようなポテンシャルがこの地域にないかなどジェトロを訪問して国際的な状況も把握したうえで勉強していきたい。


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