札証新理事長に長野実・北洋銀前副頭取が就任、「従来型とひと味違う証取に」

経済総合

 札幌証券取引所は、2025年5月22日の定時会員総会で、石井純二理事長の退任と長野実氏の理事長選任を決定した。併せて会員外理事の横山清氏(アークス会長・CEO)、大谷喜一氏(アインホールディングス社長)らの留任を決めた。石井氏は、健康上の理由で1年で理事長を降り、顧問として新理事長をサポートする。(写真は、会見後に握手する札証新旧理事長。左から顧問に就いた石井純二氏、新理事長の長野実氏)

 新理事長に就いた長野氏は、1959年11月生まれ、65歳。早稲田大学商学部卒業後に北海道拓殖銀行入行、1998年11月に拓銀の営業譲受で北洋銀行に移り、執行役員旭川中央支店長や取締役本店長を経て2017年6月常務、2019年6月代表取締役副頭取。2024年6月北海道二十一世紀総合研究所会長。公職では、2022年5月から2024年5月まで一般社団法人札幌観光協会会長、同期間に北海道経済連合会副会長も務めた。

 この日、新旧理事長の会見が、札幌市中央区の札幌グランドホテルで行われた。石井氏は、2024年5月に札証理事長に選任されたが、同年8月に健康を害して手術を受け、現在は、日常生活に支障がない状況に回復している、1年で辞任を決めたことについて、「札証は、GX(グリーン・トランスフォーメーション)推進の機能強化に関わる新たな市場形成や推進体制を具現化する重要な局面にある。理事長職務に空白期間は許されないと考え、早めの交代が適切と判断した」と話した。

 その上で、長野氏について「北洋銀副頭取時代からGX推進の責任者を務め、高度な知識を有している。また、道経連副会長、札観協会長を歴任し、多彩な人脈もあって適任」と述べた。

 長野新理事長は、「最先端半導体ラピダスの進出や大型データセンターの建設、GX関連産業が動き出すなど、北海道の産業構造が転換する絶好の機会が来ている。金融資産運用特区を活用したアジアの金融センターを実現させるなど、北海道の新しいポテンシャルを生かせるよう証券取引所の未来志向の戦略を描き、結論を出していきたい」と抱負を語った。

 さらに、「東京証券取引所との差別化をどこに求めるかを札証の戦略として位置付けて、具体的展開を考えたい。北海道の特色を個性的に生かしている事業や、東証や他証取では評価されない軸で、私たちが目利きをして、成長のポテンシャルがある事業に資金支援をする機能を強化したい。人口減少が全国よりも早く進んでいる北海道で、持続可能な社会に貢献しているビジネスの萌芽が結構あるのではないか」と述べ、「従来型の証取とはひと味違ったESG(環境・社会・ガバナンス)、GXなどを意識した札証の戦略を明確にしていきたい」と語った。

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