札幌証券取引所は2025年3月24日、エレベーター、エスカレーターなど昇降機設備の保守、管理およびリニューアルを手掛けているエレベーターコミュニケーションズ(本社・東京都品川区)のアンビシャス上場を承認した。上場予定日は、同年4月25日。(写真は、札証アンビシャス上場について話すエレベーターコミュニケーションズの薄田章博社長=左端)
エレベーターコミュニケーションズは、2006年2月設立。2024年5月期決算は、売上高32億9100万円、営業利益1億円、純利益は7400万円。社員数219人(2025年2月28日現在)。保守台数は、全国で1万台強、全メーカーに対応し、独立系の昇降機保守管理会社としては、業界3位。監査人は清友監査法人(京都本部事務所・京都市中京区、東京事務所・東京都千代田区)、幹事証券は東洋証券(本社・東京都中央区)。上場時に公募5万株、売り出し6万9800株を予定しており、公開価格は、ブック・ビルディング方式で、同年4月9日に決定する。調達資金は、人材育成などに充当する。
本社を東京に置き、全国47支店を配置して全国展開を行っているが、札証アンビシャス市場をIPO(新規株式公開)先に選んだことについて、薄田章博社長(54)は、「当社は地方展開に重点を置いており、とりわけ北海道エリアの潜在需要は大きいとみている。積極的な事業展開を行っていく予定もあるため、アンビシャス上場で北海道での認知向上に繋げたい」と話した。
北海道では、エレベーターメーカーによる保守管理費の値上がりが、地方の観光業者やビル事業者などの経営を圧迫している。エレベーターコミュニケーションズは、独立系の強みを生かして、リーズナブルな価格でメンテナンスを行うことで、道内でのシェア10%以上を狙う。同社の1人当たりのエレベーター点検台数は約800台で、他社の1000~2000台よりも少ない。このため、災害時を含めて、迅速な復旧が強みとなっている。
薄田社長は、ジャパンエレベーターサービスホールディングス(本社・東京都中央区)などを経て独立。小樽市出身。「私自身、北海道出身で北海道の株主も多いので、北海道の発展に貢献していきたい」としている。なお、アンビシャス市場の単独上場会社は、今回で9社目(東京証券取引所スタンダード市場、グロース市場に重複上場している2社を含めると11社)。