証券会員制法人札幌証券取引所の小池善明理事長は、22日に開催された第83回定時会員総会後の会見で、今後日本取引所との連携を深めていく考えを明らかにしたうえで、最近の株価上昇が急激すぎると懸念を示した。また、札証理事を再任された横山清アークス社長は、札幌商工会議所副会頭が所属する企業も上場を目指すべきだと述べた。(写真は、小池善明理事長=2013年5月22日午後5時過ぎ、札証で)
札証の前期(2012年4月~13年3月)決算は、総収入2億943万円に対して総支出は2億2339万円となり1369万円の赤字になった。札証の売買高は前々期に比べて8倍にも高まったが、収入は会員である証券会社の会費や新規上場手数料が中心のため、売買が活発でも収益には結び付かないため。赤字は3期連続。
今期は、会員会費を福岡証券取引所に倣い会員証券会社が全国の取引所で行う売買に応じて決めるなど改定、前期の5600万円から3000万円程度会費収入がアップすると見込む。赤字を出さずに活動できる運営体制を構築する。
総会後の会見で、小池理事長は日本取引所との関係について、「日本取引所はグローバル戦略を優先しており、まだ地方市場や地方企業の上場発掘に目が向いていないようだ」と語り、「日本経済の競争力は産業がしっかりしていることが前提で、それを支えているのは東京だけではない。日本の企業全体をまとめていく機能を日本取引所が持つことになると思うが、札証は福岡証取とともに日本取引所との連携が必要になる。米田さん(道生氏・日本取引所取締役代表執行役グループCOO=元日銀札幌支店長)や今度東証社長になる清田さん(瞭氏・大和証券グループ本社名誉会長で札幌支店長を経験)など北海道に理解のある人が執行部にいるので期待している」と自身も日本取引所に積極的にアプローチしていく考えを示した。
また、最近の株価上昇に就いては、「東京主体で株価の上がり方が早すぎる。実体の経済や企業が付いていかないとまずいと思う。株価自体はリーマンショック前に戻った段階で、水準的にはそんなに高いと思わないが戻り方がいかにも急激。上場しようという企業も時間的余裕がないのではないか。札証の時価総額も着実に上がってきているので、道内企業も前向きに考えところが出てくると思うが、ちょっと(株価上昇の)スピードが速すぎる」と述べた。
会員外理事として再任された横山氏は、「商工会議所の副会頭が所属している企業がどこも株式公開に声を上げていない。後発隊だとしてもチャレンジする企業が1社でも2社でも出てくれば良いと思う。札証上場会社の数が増えないといけない。道内の経営者は下ばかり見ずに皆が上を向かないと」と苦言を呈していた。