全国系の焼き鳥居酒屋の北海道初上陸が続いている。2023年は「鳥貴族」、「新時代」、「それゆけ鶏ヤロー」が札幌に進出、そのうち「鳥貴族」は早くも3店舗目をうかがう勢いだ。全国系焼き鳥居酒屋の札幌進出は、地元勢をどこまで脅かすのか。(写真は、2023年12月1日にオープンした「それゆけ鶏ヤロー札幌すすきの店」)
北海道・札幌の焼き鳥居酒屋といえば「串鳥」。札幌開発(本社・札幌市中央区)が展開しており、店舗数は、札幌や旭川などを含めて道内30店舗。いずれも直営で、味・質・サービス、それに見合った価格などブランド力で揺るがぬ地位を築いている。そんな「串鳥」王国ともいえる札幌に、これまでも全国系は挑んできた。最近では、コロワイド(同・横浜市西区)グループが、2018年から翌年にかけて、「やきとりセンター」を2店舗出店したが、コロナ禍の影響や事業再構築のために2年足らずで撤退した。
(写真は、「鳥貴族すすきの店」)
コロナ禍も落ち着き、人流回復が進み始めた2023年になって、全国系焼き鳥居酒屋は一気に札幌に攻め込んでいる。全国で600店以上の「鳥貴族」を展開する鳥貴族(同・大阪市浪速区)は、大型連休をめがけて4月26日に「すすきの店」を出店、7月31日には「狸小路2丁目店」を出店した。
(写真は、「新時代札幌北1条店」)
全国で105店舗の「新時代」を展開するファッズ(東京事業所・東京都港区)は、9月25日に「札幌北1条店」をオープンさせた。また、関東を中心に約60店舗の「それゆけ鶏ヤロー」を展開する鶏ヤロー(同・千葉県流山市)は、12月1日に「札幌すすきの店」をオープンさせた。
全国系焼き鳥居酒屋の札幌進出が続いているのは、三大都市圏で成功した各社が、さらなる事業拡大を狙って、空白地帯だった北海道・札幌に目を付けたためだ。進出してきた3ブランドは、現在のところススキノや札幌駅近くを舞台にしている。中心部はお客のパイも大きく、「串鳥」にも目立った影響は出ていないという。店舗の運営形態は、「鳥貴族」がアイビス(本社・札幌市西)のFC(フランチャイズ、同社は市内で『牛角』をFC運営)、「新時代」は直営、「それゆけ鶏ヤロー」は業務委託。
今後の焦点は、3ブランドが店舗数をどれだけ増やしていくかだ。「鳥貴族」は2024年1月、アスティ45の2階に「札幌駅南口店」を出店、早くも3店舗に増やす。「串鳥」を展開する札幌開発の担当者は、「焼き鳥業界が活性化するので新規参入は歓迎です。ただ、原材料価格が高止まりしており、各チェーンともに価格、味、量、質では苦労していると思う。合わせて人件費も上がっており、店舗網を増やしていくのは容易ではないと思う。むしろ、私たちは道内同業者との競争にどう勝ち抜くかが課題」と言う。全国系3ブランドの札幌進出は、地元勢同士の競争を刺激する、副次的な効果も促しているようだ。