ペッパーフードサービス(本社・東京都墨田区)が、直営・FC(フランチャイズ)で全国展開しているステーキ専門店「いきなり!ステーキ」の道内店舗数が、最盛期だった2019年の15店舗から5店舗に減った。コロナ禍の影響もあったが、4年で3分の1になった。外食業界の厳しい現実を示している。(写真は、2023年8月31日に閉店した「いきなり!ステーキ千歳店」)
「いきなり!ステーキ」は、2016年12月9日にオープンした「新さっぽろカテプリ店」(札幌市厚別区)が北海道の1号店。以来、全国と同様に、道内でも矢継ぎ早に出店。2019年8月28日にオープンした「長崎屋小樽店」(小樽市)まで、3年弱で道内に15店舗を構えた。札幌だけでなく、全道的に店舗網を広げたため、知名度は一気に高まった。
しかし、大量出店によって自店競合が激しくなったことや、コストパフォーマンスの魅力が想定よりも低いことなどが影響、2019年11月をピークに今度は全国的に閉店が相次ぐようになった。そこに、コロナ禍による来店客数減が追い打ちをかけ、ペッパーフードサービスは、もう一つの事業の柱だった「ペッパーランチ」事業の売却を余儀なくされた。
「いきなり!ステーキ」の大量出店のツケは重く、直営・FCを含めて不採算店舗を積極閉店。道内でも2023年4月16日の「長崎屋小樽店」(小樽市)の閉店で6店舗まで縮小した。さらに今回、同年8月31日に「千歳店」(千歳市)が閉店した。同店は2019年7月10日にオープン、4年強で幕を閉じた。これによって道内店舗は「札幌南店」(札幌市中央区)、「イオンモール札幌発寒店」(同市西区)、「アリオ札幌店」(同市東区)、「イオン釧路店」(釧路郡釧路町)、「イオンモール旭川西店」(旭川市)の5店舗になった。
閉店が続く中、ペッパーフードサービスの「いきなり!ステーキ」事業は回復している。2023年12月期第2四半期決算は、売上高67億8400万円で前年同期比2・6%増、利益は3億6100万円と同249・2%増。急速出店と急速閉店を繰り広げた「いきなり!ステーキ」は、大きなツケを残しながら事業の先行きが開けてきた。