名門タクシー会社「葵交通」が車両60台をSKグループとMID交通に分割譲渡、貸し切りバス事業自己破産の余波

経済総合

 昭和36年にタクシー免許を取得した業界でも名門企業に数えられる葵交通(本社・北広島市)が事業継続を断念、タクシー60台をSK事業協同組合(本部・札幌市)とMID交通(本社・北広島市)に譲渡する「譲渡・譲受申請」を札幌運輸支局に申請した。2月14日に申請しており3月末には認可される見通し。タクシー事業は順調だったが、グループ会社のバス会社が2年前に自己破産した影響が響いた。(写真は、北広島市にある葵交通の車両センター)
 
 葵交通は札幌交通圏(札幌市、江別市、石狩市、北広島市)の名門企業として知られ、現社長の長谷朋之氏は社団法人札幌ハイヤー協会前副会長を務め、実父は会長も歴任したことがある。
 
 事業継続を断念したのは、グループ会社で貸し切りバスのエクセルバス(北広島市)が負債4億円を抱えて2年前に自己破産したため。
 
 エクセルバスは、札幌と函館で貸し切りバス事業を行っていたが、競争の激化と顧客を持つ幹部が退職、収入見込みが消失したことが原因。エクセルバスの借り入れに長谷社長は個人保証していたため葵交通にも影響が及んだ。
 
 当初は、MID交通への全車両譲渡が計画されていたが、MID交通は北海道乗用自動車厚生年金基金に加入しておらず葵交通には脱退費用が掛かるため、同年金に加入しているSK事業協働組合との分割譲渡になった。
 
 葵交通が保有する60台のうち50台をSKに、10台をMID交通に譲渡する。従業員120人は全員SKに移り、MID交通へは車両のみの譲渡になる。
 
 札幌交通圏は、タクシー事業適正化・活性化特別措置法によって特定地域に指定され、札幌ハイヤー協会に所属しているタクシー会社は自主的減車を行っている。タクシー過剰が続いているため増車できない状況だが、経営環境の比較的良好な企業では増車ニーズが強い。
 
 今回の葵交通の車両譲渡によってSKは約700台、MID交通は約30台に台数が増える。SKは、札幌交通圏で最大のHK(北海道交運事業協同組合)と拮抗する規模になりそうだ。

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