札幌で135年の歴史を持つ老舗佃煮メーカーの竹山食品工業(本社・札幌市中央区南5条東1丁目11)は、自主廃業の手続きを進めている。既に1月25日に事業を停止しており、事後処理の協議を行っている。(写真は、竹山食品工業本社)
(写真は、竹山食品工業本社に残っているうだつ)

 同社は、1889年(明治22年)に、創業者の竹山岩吉氏が札幌二条市場近くに海産商「竹山商店」を創業したのがルーツ。1927年(昭和2年)に2代目が佃煮製造を開始、1937年(昭和12年)に現在地に移転、「竹山佃煮工場」に改称した。1949年(昭和24年)に3代目が「竹山食品工業」を設立、現在に至っている。

 1950年代は高度成長と炭鉱景気に支えられて工場を拡大、1960年代にはスーパーマーケットの店舗拡大でトレー包装部門を増設、1970年代は惣菜部門を増設するなどしてきた。近年になって佃煮の主原料となる魚類の調達難が続き、2020年からのコロナ禍で佃煮市場は急速に縮小して売り上げが減少。2022年4月には、1940年代後半から営業してきた「竹山佃煮 札幌三越店」を閉店して経営合理化を進めてきた。しかし、原材料価格の高騰やエネルギー価格の上昇が響き、早期の事業停止が最良と判断、自主廃業することにした。

 同社の商品には「極上ちりめん」や「白じゃこ」、「栗きんとん」、「黒豆」、「花そぼろ」、「桜でんぶ」などがあり、日常の食卓に欠かせない伝統食を作り続けてきた。本社と工場(中央区南6条東2丁目)があり、従業員約40人は解雇予告を経て解雇された。現社長の竹山寛氏は、「自主廃業手続きを進めているため、今はお話できない」としている。
(写真は、竹山食品工業の工場)


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