20年、30年と変わらぬ姿でいると、街の風景に溶け込んで私たちの記憶に焼き付けられる。北海道生まれのファミリーレストラン「ヴィクトリアステーション」は、まさにそんな存在の象徴。道民の日常生活に寄り添うようにあった「ヴィクトリアステーション」が1店舗、また1店舗と消えている。(写真は、2月27日で閉店した「ヴィクトリアステーション西岡店」)

 2月27日、「ヴィクトリアステーション西岡店」(札幌市豊平区西岡2条8丁目1-32)が閉店した。福住桑園通沿いにあるこの店舗は、福住方面に向かって緩やかな上り坂が続く途中にあった。独特の建物形状と色使い、高々と掲げられたポールサインが、存在感を見せていた。月日の流れを沁みこませたような建物は、そこに集う人々の息づかいを20年、30年と包み込んできた。若き日のタカアンドトシも、ここで漫才のネタづくりに勤しんだという。

「ヴィクトリアステーション」には、ひたひたと閉店の足音が迫る。店舗老朽化や人手不足、コロナ禍、複合的な要因が重なる。2018年には全道に42店舗があったが、その頃から閉店が目立ち始め、2021年は旭川や苫小牧、札幌、函館、釧路、小樽で9店舗が閉店した。この9店舗にもお客と従業員がつくってきた、それぞれの歴史が凝縮していた。

「西岡店」の閉店によって、「ヴィクトリアステーション」は29店舗になった。札幌は9店舗と一けた台になり、旭川と北見の2店舗以外は、稚内、岩見沢、帯広、小樽、千歳、函館、滝川、苫小牧、北斗、室蘭、網走、石狩、苫小牧、釧路町、音更町、新ひだか町に1店舗ずつ。地域に溶け込み、街の風景を形づくってきた各地の「ヴィクトリアステーション」。その灯は点り続けてほしい。


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