札幌証券取引所小池善明理事長が「取引所改革を推進」、新ロゴマークも制定し道内経済界と積極連携

経済総合

 札幌証券取引所はアンビシャス市場の上場基準を改正するのに合わせて新しいロゴマークを制定、道内経済界の中で札証のパフォーマンスを引き上げる取り組みを強化する。アンビシャス市場はこれまで「高い成長性が期待できる」企業が対象だったが、「安定的な成長」を続けている道内の中堅・中小企業にも門戸を広げる。また、札幌商工会議所や北海道経済連合会と連携にして上場予備軍の発掘など、道内経済活性化のプラットホームとして札証の位置づけをより明確にする。(写真左は、総会終了後の記者会見。左から松浦良一会員理事(上光証券社長)、小池善明理事長、横山清会員外理事(アークス社長)、前泉洋三会員外理事(北海道ガス相談役)。写真右は、新しいアンビシャスのロゴマークと小池理事長)
 
 24日の総会で明らかにされた2011年度決算は、2841万円の赤字となり10年度の42万円に続き2期連続赤字となった。新規上場がなく、重複上場の廃止や札証本則銘柄のRHインシグノ、アンビシャス3銘柄が廃止されたこと、さらに収益の大半を占める上場企業の増資手数料がアークスの240万円だけだったため全体の収益が前年度より27%減少したのが原因。
 
 札証では、ここ数年新規上場による手数料収入よりも既に上場している企業の増資による手数料収入のウエートが高まり、「増資の有無で収益が左右される構造」(小池善明理事長)になっている。
 
 このため、上場の登竜門としてのアンビシャス市場をより使いやすく改革し、道内企業の上場を促す地域密着型証取としての位置づけをより明確にして新規上場を増やし、増資偏重の収益構造から脱皮を進める。
 
 具体的には、アンビシャスのコンセプトを『近い将来に札証本則市場へのステップアップを視野に入れた中小・中堅企業向けの育成市場』と位置づけ、上場時における時価総額の廃止や株主数を緩和するとともに、これまで高い成長性を見込める企業だけを対象にしていたことから安定的成長を続けている企業にも門戸を広げることにした。
 
 安定的成長とは、2期連続で5000万円以上の営業利益を確保していること。「こうした中小・中堅企業は道内には数多いが、これまでそれらの企業が上場できる市場が札証にはなかった」(定登専務理事)
 
 アンビシャス市場は、東証マザーズ、名証セントレックス、福証Qボードとともに新興市場として位置づけられていた。新興企業向け市場としての看板を維持しつつ、安定的成長を続ける『サスティナブル・カンパニー』にも間口を広げ、新たに道内に関わりのある企業に限定する規定を盛り込むことで、地域密着型の市場としての性格をより強めていく。
 
 これまで、札証は道内経済界との連携が十分ではなかったため、新規上場が停滞する一因にもなっていた。北洋銀行や北海道銀行は、起業を促進するファンドを設置するなどしており、こうした中から公開企業が生まれてくる可能性もある。国際戦略総合特区の「フードコンプレックス」や北海道新幹線札幌延伸なども追い風になるため、札証は道内経済団体との連携を強め道内経済活性化の一翼を担う組織としてパフォーマンスを高めていく考え。
 
 改革の取り組みに合わせて、札証では新たにロゴマークを制定した。札証のロゴは、北海道の形をデフォルメし光のシルエットと組み合わせたもので、開拓史の旗に使用されていたシンボルの星型は札幌の位置を示している。また、アンビシャスは、「ア」をベースにクラーク博士の指先をデフォルメし、企業が上に羽ばたいていくイメージにした。なお、赤は証券業界で株価上昇を表す縁起の良い色とされている。新ロコ゜マークは、アンビシャス上場のインサイトが作成した。

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