「一への会」が北海道ニューフロンティア経営セミナー、藻谷浩介・政投銀前参事役が「”江別製粉的世界”で北海道は日本のフランス、イタリアを目指せ」

経済総合

 異業種交流会の「一への会」(会長・渡辺克仁北都交通社長)は、「いま、求められる『日本の底力』とは何か」をテーマに2012北海道ニューフロンティア経営セミナーを開催した。会場となった京王プラザホテルには、約1000人が集まりタレントで野球評論家の板東英二氏、日本政策投資銀行前地域振興グループ地域支援班参事役の藻谷浩介氏、良品計画会長の松井忠三氏の3氏がそれぞれ講演。藻谷氏は、「アジアの人口成熟と北海道の活路」と題し、「初老期の日本は事実誤認という生活習慣病で、事実と意見を混同している。その中で、北海道は日本のカスだとかクズだとか言われお荷物扱いされているが、北海道こそアジアの中で唯一、水、食料、エネルギーが自給できる地域。世界で大量に外貨を稼いでいるフランス、イタリアのようになれるのは北海道だ」と参加者たちに“生活習慣病”という意識からの脱却を強調した。(写真は、21日に開催されたセミナー。挨拶する渡辺克仁・一への会会長=上段左、講演する板東英二氏=上段右、藻谷浩介氏=下段左、松井忠三氏=下段右の3氏)
 
 藻谷氏は、北海道には戦後、満州や樺太から引き揚げてきた人が多く団塊の世代が多いのが特徴だとし、北海道中で生まれた団塊世代が札幌に集中してきており、今後10年間で札幌の65歳以上の人口は45%上昇するとデータを示した。「札幌で人口が増えるのは高齢者のみで、これまでの考え方では札幌で商品などの売り上げは増えないだろう」と語った。
 
「少子高齢化という言い方よりも、例えば4人兄弟の団塊世代が4人とも65歳以上になっても生きているという多子高齢化の言い方の方がピッタリくる。こうした社会の中で売れる商品を作り、儲けている企業こそが、値下げ競争を制して世界で生き残っていく」と述べたうえで、北海道は水、食料、エネルギーの3つが自給できるアジアで唯一の地域という優位性を訴え、「例えば観光でも入り込み数ばかりを競うような数合わせでは、原価割れを招くだけ。観光で徹底的に儲けるような仕組みを考えるべき」とした。
 
 藻谷氏は具体例として、韓国サムソンの経営陣たちが道内のリゾートに宿泊して毎回1000万円を使っていることやシンガポールのお金持ちが松前の旅館で戸井マグロの尾頭付きを1食25万円で食べていることを紹介していた。
 
 また、日本の貿易相手国で赤字になっているのはフランスで、この5年間で高齢者が好むフランスのワインが日本で急速に売れ出したデータを示した。
 
 藻谷氏は、「高齢者は質の良い高級品を好むが、①大量生産されていない②そこでしか売っていない③いつ手に入るか分からない希少品の3要素がある。イタリアにもこうした3要素を満たした高級品が多く、北海道で言えば地元で取れた小麦でパンなどを作っている“江別製粉”的世界が広がっている。水、食料、エネルギーが自給できる北海道はまさに日本のフランスやイタリアになれる」と強く訴えかけていた。

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