札幌駅北口に三菱地所とTKテクノサービスが建設中の「札幌Kビル」が4月7日にオープンするのに伴って、市内のオフィス移転が活発化している。例年、年度末や年度明けにかけてはテナントオフィスの移転が活発になるが今年は「札幌Kビル」の竣工が重なってオフィス移転は例年以上になりそうだ。(写真は、4月上旬に竣工する札幌Kビル)
札幌Kビルは、2年前の9月から着工していたもので、現在は完成に向けて最終段階に入っている。竣工時期はビルが地下通路と結ばれる4月7日以降と見られるがオフィスビルとしての本格展開は翌週明けとなりそう。
北区北7西2に完成するこのビルは、TKテクノサービスと三菱地所がそれぞれ隣接して所有していたビルを一体再開発したもので、地下2階、地上14階、延べ床面積は2万7000㎡。
新しいオフィスビルの完成は市内のオフィス移転を促す。これまでにも日本生命札幌ビルや北洋大通センター、日通札幌ビルなど新ビルの竣工時期にはオフィス移転が活発に行われた。
不動産関係者によると、「新しいオフィスビルが完成すると、フロアを埋めるために取引先や納入業者などに市場価格よりも割安のテナント料を提示し他のオフィスビルからの移転を促す。しかし、そうした割安価格も2年ほど過ぎれば通常価格に戻すことが多く、“優待期間”が過ぎた段階で再び転居するオフィスも出てくる」と言う。
新ビルはどうしても賃料が高くならざるを得ず、景気低迷で経費節減に取り組む企業が多い中で、“優待期間”後の賃料負担に耐え切れず、「安くて便利で広い」オフィスへの移転が増えるという流れだ。
日生札幌ビルから移転していくオフィスも目立つほか、北洋大通センターから初めてテナントが退出するという。また、既存のビルでも札幌駅北口のビルに入っている大手事務機器メーカーがワンフロアで入居できるテナントビルへ移転する。
今春は、札幌Kビルの竣工が契機となってオフィス移転が例年になく増えそうだが、2年後には大通西4の石屋・秋銀ビルや駅前通の札幌三井ビルの竣工が予定されており、テナントオフィス供給がさらに増えるため、テナントにとっては当面買い手市場が続きそう。