SATO社会保険労務士法人やキャリアバンクなどSATOグループは、インテリアデザインを手がけるアトリエテンマ代表取締役の長谷川演(ひろむ)氏の講演会を開催した。長谷川氏は、札幌パルコの洋食・カフェ「shelf」や定山渓第一ホテル翠山亭など飲食・ホテル・クリニック800件以上のデザインを担当、最近ではデザインの素晴らしさを伝えるNPO法人を設立して小中高への出張授業にも熱心に取り組んでいる。今回は「デザインでもっと豊かに幸せに~デザインのすすめ~」をテーマに2時間講演、約70人が聞き入った。(写真は、講演する長谷川演氏)
長谷川氏は1966年青森県弘前市生まれ。父親が書家だったため、その影響を受けて幼いころからものを創り出す生活環境に囲まれ、自然とデザインの世界に入り込むようになった。
大学には行かずデザインの専門学校に入り、18歳からただひたすらデザインをしているという。
アトリエテンマを設立したのは90年で、以来23年間「デザイン一筋。デザインで何かできないかずっと考え続けている。デザインのことをもっと広めたいし、もっと知って欲しい」と長谷川氏はデザインの普及伝道にも力を入れている。
札幌パルコの「shelf」をデザインする際には、書棚をイメージし、書棚に並べる本を買うためにニューヨークの古本屋でブリタニカの百科事典を1ドルほどで何冊も買ったエピソードも披露していた。
「デザインと言うと、私たちは意匠のことと思っているが、語源を辿るとラテン語で『計画する』という言葉に突き当たります。計画することを記号で表し伝えることがデザインの本質的な意味」と語り、「デザインには誰かのため、人のためという社会性と芸術性、科学性が必要で、デザインの目的は人を幸せにすること」と強調した。
また、長谷川氏はデザインには人の感情を変える力がある、と説明。「優れたデザインは『もの』や『こと』を伝えることを通り越して人の『感情』に訴えかける。例えば皆さんがお金が欲しいと考えるのは、お金を持つことによって良い感情が欲しいからであって、車を買う場合もその車を得ることによって得られる感情を欲している訳です。デザインはお金よりも感情を変える力がある。豊かで幸せな生活を送るためにデザインは大切な役割を果たしている」と締めくくった。