「現実の札幌」と「バーチャルな札幌」をスマホ画面に重ねて表示、KDDIとクリプトン実証実験

経済総合

 スマートフォンを札幌の街にかざすと「現実の札幌」に「バーチャルな札幌」が重なって表示されるーーKDDI(本社・東京都千代田区)とクリプトン・フューチャー・メディア(同・札幌市中央区)は、VPS(ビジュアル・ポジショニング・サービス=全地球測位システムの発展系)技術を活用してAR(拡張現実=実在する風景にバーチャルの視覚情報を重ねて表示)の利用が広がる新技術の実証実験を札幌市時計台周辺で行った。(スマホ画面には、現実の風景にバーチャルな画像が重なって表示されている=写真)

 VPS技術とは、衛星からビルの高さや幅などの特異点を認識し、3Dマップと専用アプリを搭載したスマホのカメラ越しの画像を照合、向きや方位を含む高精度な位置情報を特定する技術でGPSの発展系と位置付けられている。 

 札幌市時計台周辺で行われた実証実験では、スマホを時計台に向けてかざすと、画面には現実の風景に重なってビルの壁面に広告が表示されたり、空中を浮遊する魚やクジラのオブジェが表示されたりした。また、レストラン検索・予約サイト「食べログ」に掲載されている飲食店情報がARで実際の場所に合わせて画面に表示され、飲食店を簡単に探せるようになっている。さらに気温や降水確率など現在の天気と2、3時間後の予報も表示されていた。

 この実証実験は9月に東京・渋谷で初めて行われ、札幌では10月16日から20日まで開催されたクリエイティブの祭典「NoMaps」に合わせて行われたもので全国2番目の実証実験の地になった。KDDIとクリプトンは、この実証実験の成果を生かしてARやVR(仮想現実)、MR(複合現実)などの技術とVPS技術を活用した共同事業を目指し、バーチャルな初音ミクと現実の札幌観光を楽しめる試みなども視野に入れる。

 なお、KDDIとクリプトンは2017年2月に「ミク☆さんぽ」によるAR実証実験を実施したことを契機にAR/VR/MR等を活用したコンテンツ事業の推進を協力して実施していくことで同年4月に基本合意している。

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