札幌証券取引所と東京証券取引所は10月に北海道で開催される「NoMaps」連携事業の一環として、8月23日に札幌市中央区の札証で若手起業家の体験談を聞くプレイベントを開催した。(写真は、講演する鹿毛伊織氏)

 若手起業家として登壇したのは、ベビー向け・シニア向けのヘルスケアフードを製造販売している「Hokkaido Product」代表取締役の鹿毛伊織(かげ・いおり)氏(33)。鹿毛氏は、起業した理由や今後の展望などを語った。

 鹿毛氏は大阪府生まれでホームレス支援などのボランティア経験から「福祉」を志し、北海道医療大学に進学して社会福祉士や精神保健福祉士の国家資格を取得。卒業後に日本通運に入社、ニトリのロジサプライチェーンやコンサドーレの通販サイトの構築などを手掛けた。その後、東日本大震災を機に仕事を通じて社会に貢献する思いを強め、石狩郡当別町の社会福祉法人ゆうゆうのナンバー2として福祉施設運営、成年後見制度の改革、農福連携事業などを手掛けた。

 2018年8月に起業、「Hokkaido Product」を設立。起業した理由について鹿毛氏は、「30歳を祝う“三十路式”のイベントを始めた時に知り合った子育て中の女性たちの話を聞いているうちに、離乳食で悩んでいることを知った。道産素材を使って離乳食を作れないかというのが発端だった」と話した。

 滝上産業(紋別郡滝上町)の製造するコーンやカボチャのペーストの独占供給を受けてラベルや容器にこだわって製品化したのが北海道産野菜100%の離乳食「ベビポタ」だった。保存料や着色料など添加物を使わずその年に獲れた新物だけの北海道野菜をフレークにしたもので、「フード・アクション・ニッポンアワード・2018」に入賞したほか、札幌商工会議所の「北のブランド」、道が選定する「北のハイグレード食品2019」にも選ばれている。

 道内百貨店や高島屋、全国のTSUTAYA、西松屋、赤ちゃん本舗などに販路が広がり海外では香港、シンガボールに次いで年末からは台湾でも取り扱いが始まる。また、野口観光(本社・登別市)の各ホテルのレストランメニュー向けにも供給が始まる。

 鹿毛氏は、「私自身、北海道が大好きで北海道のために貢献したいという思いが強い。北海道には頑張ろうとする若者を応援する土壌があると思う」と話した。今後について、「5年後には年商20億円を目指し、乾燥野菜フレークに等級制度を設けて信頼性を高めていきたい。また、ヘルスケアに関わる情報を発信するアプリ開発にも取り組みたい」などと述べていた。


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