アインホールディングス大谷喜一社長が語る成長戦略②

経済総合

 アインホールディングス(本社・札幌市白石区)の大谷喜一社長が6月28日、札幌証券取引所で個人投資家向け会社説明会を行った。2019年4月期決算の概要を説明するとともに20年4月期の計画や中期的な成長戦略を語った。大谷社長が語ったアインHDの今とこれからのダイジェスト版2回目を掲載する。(写真は、札証で講演するアインHD・大谷喜一社長)

「次に、アインHDがどういうストーリーを持って成長戦略を策定しているかを話したい。調剤薬局のマーケットが本格的に成長したのは2000年ころから。当社の売り上げも当時は100億円くらいだった。この20年で急激な成長を遂げ、マーケットも1兆円から8兆円になった。その中で当社のマーケットシェアは1位といっても3%しかない。これを10%、二桁まで持っていきたい。そうなると売り上げ規模は8000億円から1兆円になる。今期はまだ3000億円なのでそれに向けて成長させていきたい」

「1995年ころの調剤薬局はどうだったかを振り返ってみよう。当時はGMS(大規模スーパー)が調剤に盛んに進出した。その他にドラッグストア、当社のような調剤薬局専業にシフトした企業、総合商社も相次いで調剤薬局に進出していた。あれから20数年経過して2019年はどうなったか。GMSなどに調剤薬局はあるにはあるが機能しているとは思えない。ドラッグストアの調剤事業は伸びたと言ってもそう大きくは伸びていない」

「95年当時、調剤薬局は専業企業が潰れてドラッグストアが主力になると言われていた。しかし、95年と今日を比べてみると状況は全く違っている。当時、盛んに言われていたことがいかに間違いであったかが証明されている。当社にとってライバルはこの20年間で2つあった。一つはドラッグストア。ドラッグストアの経営者は常に『調剤の主流はドラッグストアになる』と言い続けた。なぜならばアメリカがそうだったから。しかしアメリカと日本ではルールが全然違うし、アメリカには日本のような国民皆保険制度がない。日本は日本独自の調剤マーケットに成長していくに決まっているということで、私たちは調剤専業で病院の前に調剤薬局を構える門前薬局を推進していった。結果的にはその戦略が正解だった」

「もう一つのライバルは、同じ調剤薬局専業の企業。ライバル各社は借金をものともせず門前の一等地を押さえていった。しかし、当社はそれができなかった。拓銀が破綻した時に当社も破綻しそうになったから借金に怖さを感じていたからだ。だから大学病院などの前に当社の店はない。いずれも土地が手当てできなかった」

「当社は、借金が嫌だったのでファイナンスで資金調達をして健全なバランスシートを保って成長を図っていく戦略を取ってきた。そのことによって何が起きたかというと私の持ち株比率が下がるわけですよ(笑)。潰れたら何もならないし企業は存続させることが第一。だから私の比率が下がっても資本を厚めにすることが大切と考えた。今は資本力ではライバルと比べて圧倒的に良い。2年に1回は必ず診療報酬が変わりそれに翻弄されるのが調剤薬局業界。それを乗り超えて増収増益にすることを今までやってきた」

「成長というのは、売り上げを伸ばして利益率を上げていくこと。上場している以上、企業価値を上げていくことは必須のこと。それが揃っていないと成長とは言えない。どんなに株価が上がっても収益が上がっていないと必ずどこかで株価は修正される。業績がきっちりと上がって利益が上がっていけば必ず株価も上がっていく。例えタイミングがずれても必ずそうなる」(続く)
※2019年7月9日記事一部修正しました。
※2019年7月10日記事一部追加修正しました。

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