石屋製菓は主力商品の「白い恋人」の商標権を侵害したとして、吉本興業など3社を札幌地裁に提訴した。吉本興業などは関西を中心に「面白い恋人」を販売しているが年々販路を拡大、近く道内でも売られるということが分かり提訴に踏み切った。また、台湾でも類似品が製造販売されているため台湾国内の法制度に則った対応を検討する。(写真は石屋製菓本社)
「白い恋人」は、発売35年を迎え製法特許などは切れているものの、商標権は継続して申請することができ、ほぼ永久に商標権は守られる法制度になっている。
吉本興業など3社が企画して販売している「面白い恋人」は、当初は吉本の本拠がある大阪市内のみの販売だったが、最近は関西国際空港などでも売られ東京でも一部に出回っている。
石屋製菓では、パロディー化された商品として静観していたが、販路が拡大しており近く道内での販売も始まるという情報が寄せられたためパロディーの度を過ぎていると判断、商標権侵害による販売差し止めと廃棄を求めて提訴に踏み切った。
石屋製菓の「白い恋人」は、発売以来ロングセラーの商品で北海道土産の代名詞。昭和50年ころに土産菓子を作るとすればホワイトチョクレートを選択するのが普通だったが、石屋製菓は他社の真似をせず、リスクを背負いながら『白い恋人』を完成させた経緯がある。
商品名を考え付いたときの話は有名。製品開発もほぼ終わり名前をどうするかというときに、雪がハラハラと降ってきたのを見て、「白い恋人たちが降ってきた」と創業者が語るのを聞いて現会長の石水勲氏が「白い恋人」に決めた。
石屋製菓は、北海道のみの限定販売を発売以来貫いており、道外で販売されているのは成田国際空港の免税店売場だけ。
石屋製菓では「白い恋人」と類似の商品を台湾国内で製造販売している一德生技有限公司(高雄市)の「一德白い恋人」についても法的対応を取る方針。
「白い恋人」は、北海道土産としてだけでなく道内での消費も多く、地場消費に支えられていることもロングセラーを続けている要因。
土産菓子とは違うものの大阪に本社を置く「551蓬莱」の豚マンも単品で年間90億円を稼ぐ。地場消費と土産用に支えられているのは石屋製菓と同じ。蓬莱では、土産用のチルド以外は、その日に作ったものしか販売せず、しかも商品管理に目が届く片道2時間半の距離内でしか売っていない。
両社に共通するのは、商品に対する信頼性とブランド価値を維持するために地道な努力を続けている点。「人の真似をしない」ことは経営の根幹に据えられている。