土屋ホールディングス(HD、本社・札幌市北区)の創業者会長、土屋公三氏が主宰する「人間社長塾」の第10期が10日、スタートした。会場の土屋HD本社ビル8階会議室には10期生82人が集まり第1回講義が行われた。(写真は、10期生を前に講義する土屋公三氏)
「人間社長塾」は、1人創業から土屋ホームなど2社の株式を上場し、持ち株会社の体制を整備するまでの全経営ノウハウを土屋氏が1年間にわたって直接講義するワンランク上の経営を目指す若手経営者の育成塾。土屋氏がこれまで体得してきた経営に関する知識やノウハウを若い経営者に引き継いでもらうのが目的で「社会への恩返し」(土屋氏)の意味合いを込めており、受講料は無料となっている。
土屋氏は冒頭、自身の中学時代の恩師の話を紹介。「その先生は『人間は150年生きられる』と話した。『自分の価値観を子どもや孫、さらにその先まで引き継いでいけば今の思いは150年後にも伝わる』と。そのことがずっと頭にあったので、私の経験や考え方を自分の息子をはじめ多くの若手経営者たちに引き継いでもらいたいと10年前にこの塾を始めた」ときっかけを紹介。
渋沢栄一の『論語とそろばん』についても言及し、「そろばんだけで世界一の経営者になってもゴーンさんのようになってしまう。資本主義には落とし穴がある。生き方や人間性、倫理観など人間を勉強していくことが必要だ」と土屋氏は強調した。
毎月1回、土屋氏が講義をして、それに基づいたグループ討議や質疑応答を行う。1~9期生は約450人いてOB会も結成されており、OBとの合同講義も年2回予定されている。
土屋氏はこんなエピソードも話した。「創業間もないころ、拓銀の重役に土地を仲介して買ってもらった。家も自分の会社で建ててもらおうと思ったが、実績がないために注文は取れなかった。しかし、その人に家を建てたい人を紹介してもらったことが土屋ホームの原点になった。自分の弱点、欠点をどう商売に結び付けていくか、ここが一番の分岐点になる」