国の施策が絡まない民間発の巨大プロジェクトと言って良い。日本ハムグループが北広島市に建設を決めたボールパークは投資額600億円、アクセス改善などで自治体が投じる金額は少なくとも150億円、さらに新駅建設などを含めると1000億円近くまで膨らむ可能性がある。これだけの規模の民間プロジェクトが成功すれば、「官」が担ってきた北海道開発150年の歴史を変える可能性がある。(写真は、日ハムグループが発表したイメージ画像の一部)
日ハムグループが発表したボールパークは、「あったらいいな」を網羅した斬新でワクワクする魅力的なものだ。切妻型の開閉式屋根で天然芝のフィールド、センター方向は全面ガラス張りのグラスウォール、周囲には水辺がありアウトドア施設や商業施設も揃う。
ちょうど大谷翔平選手がファイターズで二刀流の大活躍をしていたころ、誰もが感じた漫画を超えた感覚。「あったらいいな」を実現したのが大谷選手だった。日ハムグループが示したボールパークのイメージ画像も「あったらいいな」を表現した漫画のよう。日ハムグループが持つ漫画を超える企業風土が、今回も生かされることを期待したい。
企業風土と言えば、日ハムグループにはもう一つの顔がある。それはグループで自己完結するモンロー主義的な顔だ。ボールパークの候補地選定を巡っては、理想を追い求めるあまり協調、共生の企業姿勢が遠のいた。
こうした反省があるのか、ボールパーク建設で強調していたのが、「共同創造空間づくり」。北海道日本ハムファイターズ取締役事業統括本部長兼北海道ボールパーク取締役マーケティング担当はこう述べた。「我々が目指しているのは共同創造空間。アメリカの会社も道外の会社も協力してくれている。ぜひ、道内企業の皆さまに協力いただきたい。皆さまは、アクセスが心配なのでしょう。先入観、既成概念、固定概念があるのでしょう。こういったことを一緒に解決していきたい」
北海道の民間巨大プロジェクトと言えば、バブル期のエイペックスリゾートやトマムリゾートなどが思い起こされる。これらは成功したとは言えず、所有者が二転三転、ようやくインバウンドで成長軌道を描き始めた。日ハムグループが決定したボールパークは、人口減少・少子高齢化で展望が見えない北海道の中で、国主導による北海道開発から民主導による開発への転換を象徴するプロジェクトになりそう。日ハムグループが強調する「共同創造空間」づくりの真価が問われる。