SATO社会保険労務士法人は、元厚生労働省事務次官の戸苅利和氏(64)を顧問に招聘した。厚労省の次官経験者が民間社労士法人の顧問に就任するのは初めて。SATO社労士法人は契約企業数5000社、55万人の社会、労働保険事務を取り扱っている国内最大の社労士法人。戸苅氏の労働・雇用分野での豊富な知識と経験を活用し、SATO社労士法人の事業拡大に生かしていく。(写真は戸苅利和氏)
 
 戸苅氏は、1947年埼玉生まれで東大経済学部卒。71年に労働省に入省し、道庁商工観光部工業課長に出向したこともある。99年に厚労省大臣官房、02年職業安定局長、03年厚生労働審議官を経て04年から事務次官。小泉内閣で坂口力、尾辻秀久、川崎二郎の3大臣のもとで厚生労働行政を支えた。
 
 退任後には07年から10年まで独立行政法人高齢・障害者雇用支援機構理事長を務め、08年からは法政大学大学院政策創造研究科客員教授も務めている。
 
 戸苅氏が、SATO社労士法人の顧問に就いたのは、法人代表の佐藤良雄氏(キャリアバンク社長)との縁から。佐藤氏は26年前に北海道で職業紹介事業を始めるに当たって、当時労働省の受給調整室長だった戸苅氏に接触、起業のアドバイスを受けている。以来、戸苅氏には様々な局面で相談相手になってもらったという。
 
 厚生労働事務次官経験者は、外郭団体トップに転出するか、社労士関係では全国社労士連合会など準公的組織のトップに就くケースが多く、今回のように民間社労士法人の組織に入るのは初めてという。
 
 SATO社労士法人は、戸苅氏が厚生労働行政で培った経験やノウハウを活かし事業の拡大に生かしていく。SATO社労士法人は、道内では札幌、旭川、函館に事業所を開設しており東京と大阪にも事業所を設置している。職員数は208人で資格者は32人。
 
 戸苅氏は北海道の雇用問題について、「企業は創業から10年くらいの間が最も雇用創出力が高い。つまり若い企業が雇用を作っているが、道内では起業が減っていることに加えて企業立地が減っていることも気になる。そこに急速な高齢化が重なっていけば北海道は雇用創出面から深刻な状況になる。いかに起業を促進させる施策を取るかを真剣に考えなければならない。高齢化が進むということは、高齢化対応ビジネスのチャンスの地域でもあるのだから」と語っていた。


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