札幌証券取引所は1日、東京証券取引所、プロ向け市場のTOKYO・AIMの3証取市場合同でIPO(新規株式公開)セミナーを開催、30人が参加した。
 札証は、道内企業の株式公開を促すためにIPOセミナーを積極的に開催しており、年間13回のセミナーのうち半分がIPOに関するもの。主催者挨拶で札証の定登専務理事は、「上場する市場は札証でも東証でも構わない。道内企業が公開することで北海道経済の成長に繋がる」と参加者たちに株式公開を促した。(写真はTOKYO・AIMについて説明する栗原取締役)

 
 道内に本社を置く公開企業は50社。全国の上場会社数は約3600社で、比率で見ると1・4%でしかなく、「道内経済は全国の4%と言われているのに、それよりも公開企業の比率は少ない」(定専務理事)状況。
 
 道内には、資本金3000万円以上で売上高10億円を超えているのは約2000社ある。その中で黒字の企業は1700社。
 
 こうした潜在的な道内経済の実力を顕在化させるひとつがIPOで、札証では今年1月に証券会社や監査法人などと「チームIPO」を設置してセミナーを積極的に開催してきた。参加企業からは、「IPOの準備や実体験が聞けるので役に立つ」と言った声が寄せられているという。
 
 今回のセミナーでは、札証上場推進部の湯浅祐一郎次長が札証本則市場とアンビシャス市場について説明、「アンビシャス市場は事業展開のスピードアップを図るステップ市場として利用しやすい。できるタイミングでできる市場に是非上場をして欲しい」と訴えた。
 
 また、TOKYO・AIMの栗原宏樹取締役が市場の概要と活用法について解説。東証51%、ロンドン証取49%出資で設立されたTOKYO・AIM市場は、投資家を金融機関や上場会社、国・日本銀行、非居住者などプロに限定し、柔軟な制度運営を行っており、株主が1人でも上場させ、申請から承認までの期間は原則10日以内という機動性が売り物。内部統制報告書も四半期開示も必要がない。
 
 ロンドンAIMの上場会社数は1194社で外国会社は229社、時価総額792億ポンド(2010年12月現在)。TOKYO・AIMは2008年12月に設立され、今年7月15日にがん領域に特化した医薬品の研究開発・製造を行うメビオフォームが第一号新規上場した。「道内でもスイーツ系企業などに関心を持ってもらいたい」と栗原氏は呼びかけた。
 
 その後、東証上場推進部の及川清審議役が「最近のIPOに関する東証上場制度の改正」について講演した。
 
 定専務理事は、「IPOをした企業のトップは、『上場すれば世界が変わる』と述べている。札証をうまく利用して、チャンスとタイミングを掴んで欲しい」と語っていた。



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