「北海道」の名付け親であり蝦夷地探検で膨大な記録を残した松浦武四郎をテーマにしたわらび座ミュージカル「松浦武四郎~カイ・大地との約束」が22日に札幌市中央区のニトリ文化ホールで開催された。
(写真は、ミュージカル「松浦武四郎~カイ・大地との約束」でアイヌ民族の生き方に共感していく武四郎。22日の関係者向けリハーサルで)
今年が「北海道」と命名され150年の節目の年にあたることから札幌商工会議所150年事業として開催されたもので、主催は、公益財団法人アイヌ文化振興・研究推進機構、公益社団法人北海道アイヌ協会・札幌アイヌ協会、札幌商工会議所などで作る実行委員会。
ミュージカルは、武四郎が28歳の時、ロシアの南下政策から蝦夷地の様子を正しく伝えることが必要と三重県松阪の地から単身蝦夷地に渡るところから始まる。
商人の手伝い役としてアイヌと共に各地を回り和人の過酷なアイヌ支配の現状を知り憤る姿、厳寒の地で自然と共生しながら生きるアイヌの知恵を聞き取り書き写すシーン、幕府直轄となり武四郎の思いが通じてアイヌとの共生に向けた動きが始まる場面、そして明治維新により同化政策が強まり無念の涙を流す武四郎。随所にアイヌの音楽と踊りが組み込まれ武四郎との心の交流を描きながらフィナーレに向かう。
脇役ながら武四郎の蝦夷地行きを支援、書き残した克明な記録を評価し、「信念に生きろ」と背中を押した幼馴染みの商人の存在も印象深く描かれている。歌と踊りの躍動感と武四郎がアイヌの生き方に共感していく場面がリズミカルに進行、息をつかせない90分間になっている。
公演は23日も午後6時半から開催され(当日券大人5000円、高校生以下2500円)、9月にはわくわくホリデーホールで札幌市内や道内の小中学生の招待公演も実施される。
(写真は、ミュージカル「松浦武四郎~カイ・大地との約束」の場面)