起業家を発掘、育成することを目的にセミナーなどを全国で行っているNPO法人インデペンデンツクラブ(東京都千代田区)が、札幌で「北海道インデペンデンツクラブ」を開催した。札幌発のベンチャー経営者3人が事業計画を発表、将来像を語った。(写真は、ビークス代表取締役の高森拓也氏)
2017年8月創業のビークス(札幌市中央区)は、賃貸物件の住み心地などを提供する住民サポート型アプリ「スムスム」について紹介。賃貸物件の仲介業者は、実際に住んでみないとわからないような情報を持っていないが、このアプリを使えば住んでいる住人と家を探そうとしている人が情報を交換できる仕組み。
賃貸物件を探している人にとって納得の得られる情報を提供することで、転居後の不平不満を解消することに役立てるのが目的。高森拓也代表取締役(33)は、「住んでいる住民の声が聞けるのが大きな特徴。どのくらい住民の情報を集めるかがポイントになるが、1月から集め始めて既に500人に登録してもらった。札幌で1棟1人として9000棟分の情報を集め、賃貸情報で札幌一のアプリになって東京に進出したい」と話した。
(写真は、ミルウス代表取締役の南重信氏)
16年11月に起業し、17年3月に北海道大学認定ベンチャーになったのが、医療・健康情報の収集、保存、活用システムを手掛けるミルウス(札幌市白石区)。スマートフォンの撮影機能を使い健康診断などの情報を撮影してSDカードで保存、このSDカードをIoT情報に適用していくシステムを提供する。
東芝総合研究所から北大大学院情報科学研究科特任教授を経て代表取締役に就任した南重信氏(63)は、「道内の中核自治体と協働で地域包括ケアの一環として糖尿病予備軍の調査も開始する。モニターは100人程度でシステムは100万円で販売できるので、多くの自治体に試してもらいたい」と訴えた。
(写真は、ランドスキップ代表取締役の下村一樹氏)
15年6月1日の景観の日に創業したのが、風景配信サービスのランドスキップ(東京都港区)。風景配信やバーチャルウィンドウ、VRコンテンツによって風景を核にした新たな市場を作り出すことを目的にしている。ごく普通の通路に桜並木の風景を映し出す映像を配信したところ、通行する人の数が20%増えた実績などを紹介した。
オフィスや病院、保育所などへの提供のほかLIXILと組んで風景が広がる個人向け浴槽の開発なども進めている。シャープのTV、アクオスには同社の風景配信が標準搭載された。個人登録してもらい4Kカメラを無償貸与、旅行先で風景を撮影する「風景ハンター」は、現在8000人いるという。17年には北海道銀行と提携したほか、道庁赤れんが庁舎を利用したプロジェクションマッピングも手掛けた。
北大卒でアップルコンピューター日本法人を経て起業した下村一樹代表取締役(31)は、「風景は眠れる観光資源。風景を人に届ければ、見た人はその場所に行きたくなるもの。そんな風景の流通に取り組み、海外展開もしたい」と語っていた。
※北海道インデペンデンツクラブは、3月28日に札幌証券取引所2階ホールで行われました。