SATO社労士法人が雇用調整助成金セミナーを開催、休業手当の最大9割を国が支給

経済総合

SATO社会保険労務士法人は13日、札幌市内で2回目の雇用調整助成金セミナーを開催した。雇用調整助成金は、売り上げが減少した企業が従業員を休業させる際に支払われる厚生労働省の施策。東日本大震災の影響で道内でも観光、建設などの業種で売り上げ減少が深刻になっており、この日も企業の総務担当者など約20人が参加、助成金の内容や申請方法などの説明を受けた。

 

SATO社労士法人によると、雇用調整助成金(中小企業の場合は、中小企業緊急雇用安定助成金)の相談件数は、今年に入って同法人だけで約500件で昨年の5倍に達しているという。

 

企業が従業員やパート、派遣社員等の解雇に踏み切る前に、一時的に休業させて雇用を確保しておく場合に休業手当に相当する額が支給されるこの制度は、3年前のリーマンショックで大手自動車メーカーなどが積極的に利用した制度で、失業者を増やさない雇用のセーフティネットという役割がある。

 

助成金の対象になるのは、①直近3ヵ月の売り上げ平均が、その前の3ヵ月平均と比べて5%以上下がっている②5%下がっていないが、直近の決算が経常赤字③直近3ヵ月の売り上げ平均が前年同期間の平均よりも5%以上下がっている――のいずれかに該当する場合。

 

助成金は大企業の場合は、休業手当相当額の3分の2、中小企業の場合は5分の4まで支給される。また、解雇件数が少ないことや定着率が良い場合には支給額が上乗せされる要件緩和策もある。

 

そのほかにも、休業期間中に教育訓練をする場合にも助成する制度があり、企業は解雇をせずに従業員のスキルアップに充てることも可能。

 

セミナーでは、参加者から「教育訓練の適用範囲はどこまでか」「休業実施計画はいつまでに出すのか」「直近決算が経常赤字で売り上げが1%減少している場合は対象になるのか」などの質問が寄せられていた。

 

雇用調整助成金の利用は、2年前に道内で約6000社あったが、今年はそれを上回りそうだ。「リーマンショックを耐え忍んできた企業が、東日本大震災で大きなダメージを受けている。とりわけ規模の大きいところが悲鳴を上げている。助成金を是非利用してもらって事業立て直しに役立てて欲しい」と同法人の担当者は語っている。

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