MOEホールディングス、余市町で「日本版CCRC」構築

経済総合

 医療・介護・福祉事業や配食事業を展開しているMOEホールディングス(本社・札幌市西区)の水戸康智社長(41)は、NPO法人インデペンデンツクラブ(東京都豊島区)が主催した北海道インデペンデンツクラブの事業計画発表会で同社が進めている余市町での「日本版CCRC(生涯活躍のまち)」について説明した。水戸社長は、「国は日本版CCRCを働きかけているが、実現できている事業者はまだない。まずは当社が先行して日本版CCRCの価値観を作ることが大切だ」と実現に意欲を示した。IMG_3630(写真は、MOEホールディングスの水戸康智社長=4月21日午後、札幌証券取引所にて)

 同社は、既に余市町内の約15万㎡の敷地を取得。20年前に建設された専門学校跡で校舎など施設は一度も使われなかったという。ここを利用してMOEホールディングス、余市町、国の三者で事業を進めていく計画。

 日本版CCRCは、健康な間に地方に移り住み、医療や介護を受けながら最期まで過ごすコミュニティのこと。水戸社長は、「介護事業の経験から、高齢者の活力は人に必要とされている実感から生まれてくる。何かの役割や自分の立場があると、それを張り合いに頑張って生活していける。余市町の地方創生の一環として同町の課題を解決できるような仕組みを作りたい」と強調する。

 具体的には、同町の基幹産業である果樹栽培の後継者不足をCCRCに移り住んでくるマンパワーで補うことやCCRC内に町内の農産・水産加工品を一堂に揃えて販売する物販店舗のほか、地元産ワインを提供するレストラン、更に宿泊施設や温泉施設の整備も検討している。「道の駅のような“まちの駅”の機能を持たせることで、町外の観光客や外国人観光客も呼び込める。交流人口が増加すればまちの活力も生まれる」(水戸社長)

 高齢者向けのサービス付の集合住宅や戸建て住宅の整備はもちろんのことクリニック、図書館、コンビニエンスストアも整備。町民対象の介護予防教室、首都圏の小学生を対象にサマースクールを開く構想もある。

「現在、介護施設の入居決定権は家族が持っている場合が多い。しかし、これからは高齢者自身が主体的に選ぶ時代が来る。アクティブシニアが選択するような日本版CCRCを創り上げ、将来的には海外の富裕層が高齢期を日本で過ごすモデルになれるようにしたい」と水戸社長は話した。

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