「今、ネット通販会社の紙カタログが増えている。これまでとは全く違う作り方をしているケースが多く、心を打つように紙面が構成されている。欲しいものと衝動買いを誘発させるような作り方だ。異業種間の販促連携も活発化してきた。例えば車のディーラーと化粧品メーカーがタイアップして販促を打つことも始まっている。データを相互に乗り入れることで『年収700万円くらいの顧客なら、こういうクルマと化粧品を買うだろう』とセットで販促する手法だ」
「フランスでは昨年2月に食品廃棄禁止法ができた。賞味期限が来たからといってメーカーや小売店が勝手に捨ててはいけないという法律。それに触発されて国内でも食品の3分の1ルールを緩和しようという動きが出てきた。何が起きるかというと、食品の流通過程で大きな変化が出てくる」
「法改正と規制緩和による利点を生かすには、データをきちっと分析しなければならない。誰がいつ、何を、どのくらい買っているのかを把握することが鍵を握る。当社がある店にコンサルに入ると、商圏5㎞に住んでいる人たちと揃えている商品が合っていないケースがある。商圏には50歳代の人が多いのに30歳代が必要とする商品をたくさん置いていたりする。商圏の変化に合わせて商品を見直して入れ変えていかなければならない。そのためには必ずデータの収集と解析が必要だ」
「企業からの要望には、『お客のメールアドレスを取れるような企画を考えて欲しい』とか、『住所、名前、家族構成を知りたいがどういう施策を打ったらいいか』など様々な相談がある。そのためにはいろいろな仕組みがある。しかし、その仕組みは日本ではまだまだ表には出てきていない。私たちは10数年前からダイレクトマーケティングの重要性を唱えているが、北海道の企業は殆ど乗ってこない。多くが東京、西日本の企業だ。特に大阪の企業はデータを解析して販促策を打つことに敏感だ」
「1つ例を言うと『オロナミンC』がある。13年くらい前までは、巨人軍選手がCMのメーンだった。当時のコア客層は55歳以上だったからだ。しかし、それでは高齢化に伴って需要は減少する。そこで、当時流行っていた韓流スターをCMに使った。それによって40代女性が飲むようになった。もっと顧客を若返らそうとサッカーの中村俊輔や女優の上戸彩などをCMに起用、それによって購買年齢層は20代後半まで下がり、幅広い年代が飲むようになった。商品寿命も長くなった」
「このようにデータを如何に解析しながらプロモーションを打つのかということが、売り上げ増大に直接響いてくる。東京のスーパーでは、毎日1個しか売れない商品を置かないようにしたところ、店全体の売り上げがかなり減ったケースがある。毎日1個を買っていたのは70歳代の女性で、実はその女性はひと月に他の商品を含めて7万円も買っていたロイヤルカスタマーだった。1個しか売れない商品を撤去したことで7万円の売り上げ減に繋がった訳だが、これなどはデータ解析していれば防げた」
「データを見ることによって顧客とのコミュニケーションが生まれてくる。それによって店のロイヤルカスタマーになってくれたということがたくさんある。様々なデータを分析することによってクリエイティブな販促を行えるようになるだろう」(終わり)